海水より塩分が濃い食品はあるのか調べてみた

海水を飲んだことがありますか?
「うげー」と言いたくなるほどしょっぱく、とてもじゃないですが飲めたものではありません。
では海水の塩分濃度はどの程度あるのでしょうか?
海水と食品の塩分を比べると面白いことが分かってきます。

海水は飲んではいけない

「漂流しても海水は飲むべきではない」と言われています。
通常塩分を摂り過ぎた場合、体は体内の塩分濃度を一定に保つために尿として水分と一緒に塩分を排出します。しかし海水には多くの塩分が含まれているため、飲んだ水分より排出する水分のほうが多くなってしまうのです。このために喉が乾いたからと言って海水を飲み続けると体内の水分は減り続け脱水症に陥るのです。

そんな飲んではいけないほど濃い塩分の海水ですが、塩分濃度はどの程度あるのでしょうか?

海水の塩分濃度は?

ここには実にややこしい話がつきまといます。
「塩分」に関する呼び方が各分野で異なるのです。

例えば海水の塩分を整理してみるとこうなります。

20150418_sea_salt_01

※値はWikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B4)から引用しています。

化学寄りで話をすると塩分とは塩類のことで、この表のように硫酸マグネシウムなども「塩分」です。

しかし料理として「塩分」を語ると基本食塩(塩化ナトリウム)のことです。

そして高血圧患者の目線で「塩分」と言うと食塩のことですが、突き詰めると実は高血圧の原因の一つナトリウムのことを塩分や食塩と呼んでしまっています。

このように塩分に関する言葉の定義が立場によって変わるのです。

それを踏まえて、ここでは高血圧とその食事療法の話題ですので塩化ナトリウム(NaCl)である食塩を塩分と呼ばせていただきます。

前置きが長くなりましたが、上記の表より海水の塩分濃度は2.65%ということが分かります。
すなわち食品の成分表示と同じ表現をすると100gあたりの食塩相当量は2.65gということになり、ナトリウムに換算すると1.04gとなります。

高血圧患者の塩分制限は1食2gが一般的ですから、ちょっと越えてしまったかな程度ですね。

食品と海水の塩分を比較してみよう

海水を食品の塩分一覧に当てはめてみるとこんな感じです。

食品 100gあたりの塩分量(g)
梅干し 22.1
塩昆布 18.0
薄口醤油 16.0
濃口醤油 14.5
イカの塩辛 6.9
辛子明太子 5.6
焼きたらこ 5.3
たくわん 4.3
しば漬け 4.1
ケチャップ 3.3
めんつゆ 3.3
プロセスチーズ 2.8
海水 2.65
ロースハム 2.5
キムチ 2.2
ベーコン 2.0
さつま揚げ 1.9
ウインナー 1.9
フランスパン 1.6
食パン 1.3
味噌汁 1.2
ポテトチップス 1.0
カップヌードルのスープ 0.8
減塩味噌汁 0.8
昆布出汁 0.2
かつお出汁 0.1

実は海水はめんつゆより塩分が少ないんです。これは意外でした。今はもう出来ませんが、昔は麺を完食後に薄めずにちびちび飲むのが好きでした。
海水より濃いものを飲んでいたんですね。

こうやって整理してみると、食品と比べて海水は極端に塩分が濃いものではないことが分かります。「海水のようにしょっぱい」などと極端に塩辛くて食べられないものの比喩として使われますが、あまり正しくはないようです。

これは海水を飲んだときの状況が影響しているのかも知れません。海水を飲むという経験というと大抵が溺れかけて気管や鼻に海水が入ったことを思い出すと思います。味とは別に苦しい思いをしている故に「海水を飲むなんてあり得ない!!」という反応になるのかもしれませんね。

そういえば海の近くで育った知り合いが、磯で牡蠣を見つけると取り出して海水にさっと浸して食べるとおいしいと教えてくれました。「塩っぱくて味わからないだろ」とツッコミを入れていましたが、醤油に比べると海水の塩分は1/5以下ですのでまんざら悪い調味料ではないのかもしれませんね。今度きれいな海に行ったときに試してみたいと思います。

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