そうめん「揖保乃糸」の茹で時間を延ばすと、どの程度減塩になるのか調べてみた

ちょっと気になったので追加調査です。

茹でるお湯の量を減らすと塩分が多く残ることが分かりましたが、では茹でる時間を増やすと塩分はどう変化するのでしょうか?
単純に考えても塩分は多く抜けるはずです。

ではそれはどの程度なのでしょうか?

茹で過ぎると塩分はどの程度多く抜けるのか

そうめんを美味しく頂きたいのであれば正しい茹で時間を守る必要があります。
当たり前ですよね。

しかし多少味が落ちても大幅に塩分が抜けるのなら、減塩料理の素材としてもっと活用できるようになるのかもしれません。
そんな可能性を探る実験です。

塩分を測定してみよう

今回もそうめん「揖保乃糸」を使います。

●条件
・製品:揖保乃糸(上級品)
・量:2束100g
・茹で時間:3分(パッケージ推奨は1分30秒から2分)
・茹で汁の量:1リットル(パッケージ推奨は1リットル)

茹で時間を通常の倍にしてみます。
この条件で茹で汁の塩分濃度を15秒毎に測定し変化もみていきましょう。

では行ってみましょう。

乾麺(そうめん)

20150814_ibonoitoboil_time_02

今回も成分表の塩分を使います。
塩分は5.6gです。

茹で汁

残った茹で汁の量:654ml
塩分濃度:0.60%

20150814_ibonoitoboil_time_03

1リットルのお湯が654mlに減りました。100gの乾麺が367gになりましたので267mlの水分は麺が吸っています。残りの79mlが蒸発と冷水締めで失ったということになります。

654×0.60/100=3.924g

茹で汁に残った塩分量は3.92gとなります。

冷水締め

冷水の量:1308ml
塩分濃度:0.04%

20150814_ibonoitoboil_time_04

1308×0.04/100=0.5232

冷水締めの水の中に残った塩分は0.52gです

茹で上がったそうめんの塩分は?

5.6-3.92-0.52=1.16g

そうめんに残った塩分量は1.16gとなりました。

ちなみに食べた感想は、確かに麺がユルイけど歯ごたえが残っているので食べられないわけではない。冷水締めはしたけど締まってないという感じ。不味くはない。

茹で汁の15秒毎の塩分濃度は?

茹で汁を15秒毎に測定した塩分濃度はこうなりました。

経過時間(秒) 茹で汁の塩分濃度(%) 備考
0 0 そうめん投入
15 0.19
30 0.27
45 0.39 直後再沸騰
60 0.40
75 0.44
90 0.50 メーカー推奨茹で時間
105 0.53 メーカー推奨茹で時間
120 0.56 メーカー推奨茹で時間
135 0.60
150 0.61
165 0.61
180 0.60

20150814_ibonoitoboil_time_06

では推奨の1.5分と今回の3分で塩分はどの程度変化したのでしょうか?

このグラフを見ると分かる通り、2分を超えたところで塩分濃度の変化がなくなっています。
茹でる時間に比例して塩分が抜け続けていくわけではないようです。

残念ながら「茹で時間を1分半から3分へ倍に増やしたから塩分は倍抜ける」という甘いものではなかったのです。

どうして塩分が抜けなくなったのか

1リットルのお湯に5.6gの塩分を含んだそうめんを入れています。ちょっと強引ですが、そうめんではなく食塩5.6gだったとすると塩分濃度0.56%の食塩水になります。上記のグラフで塩分濃度の変化がなくなったのは0.60%程度・・・。

もうお気づきだと思います。
麺の中の塩分濃度と茹で汁の塩分濃度が近づいたため、麺に塩分が残っていてもこれ以上溶け出すことが出来ないのです。

すなわち「乾麺100gにつき1リットルのお湯で茹でてください」というメーカーからのお湯の量の推奨には、美味しさのキーになる塩分濃度を適切にコントロールするという重要な意味があったのです。塩分制限ウンヌンではなく、そもそも美味しく食べるためには茹で汁の量は多くても少なくてもダメだったのです。

そうだったのか!!

ならば追加実験

「茹で汁が多いときに湯で時間を増やすと塩分濃度はどう変化するか?」、これをいってみましょう。
これであればもう少し塩分が抜けるはずです。

茹で汁を1リットルから1.4リットルに増やして同じ実験をしてみました。

経過時間(秒) 茹で汁の塩分濃度(%) 備考
0 0 そうめん投入
15 0.12
30 0.20
45 0.27 直後再沸騰
60 0.29
75 0.34
90 0.38 メーカー推奨茹で時間
105 0.38 メーカー推奨茹で時間
120 0.39 メーカー推奨茹で時間
135 0.42
150 0.44
165 0.45
180 0.44

前のデータと重ねてグラフにしてみましょう。

20150814_ibonoitoboil_time_07

塩分濃度が変化する傾向は同じですが、1.4リットルのほうが若干伸びがいいようにも見えます。
1.4リットルの水に5.6gの食塩を入れると濃度は0.4%になります。茹で汁も2分を超えた当りで0.4%に達しているので、これ以上煮込んでも塩分が大量に抜けることはないでしょう。

さて、茹で汁中の塩分量はというと

●1.4リットルの茹で汁

1039mlが残り、塩分濃度は0.44です。

1039×0.44/100=4.5716g

茹で汁に残った塩分は4.57gです。

1リットルのときは3.92gでしたので、そうめんは0.65gの減塩ができました。
やはりそうめんの塩分を抜きたいのであれば、茹で汁の量を増やすというのが効果的なようです。

ただし残念なお知らせがひとつ。

まずい。
メチャクチャまずい。
水っぽくて味気ないそうめんです。

通常300gになるはずのそうめんが380gになるまで水を吸って膨れ、さらに麺の塩分が減っていることが原因だと思います。
なんとか完食はしましたが、ちょっとこれはもう勘弁です。

水分を吸って緩い味のないそうめん。うーん、これにはとても耐えられないでしょう。
残念ながらボツですかね。

個人的結論

揖保乃糸をつかっていろいろ調べてきました。
しかし今回最後に行った実験のように「減塩が出来てもマズイ」というものでは食事が苦行になってしまいます。
塩分制限をしていても食事は1日3回の楽しみであって欲しいものです。

これらを踏まえて私個人はこうします。

  • 茹で時間はメーカー指定の1分半
  • 茹でる際のお湯の量は出来る限り多くする(我が家であれば1.4リットル)

揖保乃糸ならこれが正解かなと感じています。

残念ながらそうめんの塩分をさらに激減させる試みは失敗でした。

しかしそうめん自体は塩分が1食1g程度と比較的扱いやすい食材です。
そうめんにはこれ以上の減塩を求めず、味付けを工夫して塩分を減らしたほうが美味しく減塩が出来るように思います。

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