脳細胞再生薬「サンバイオ SB623」は対象を絞り開発続行へ

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バイオベンチャー「サンバイオ」が開発しているSB623。
脳梗塞や脳出血で失った脳細胞を再生させる画期的な薬とされています。

2019年1月、米国で実施された慢性期脳梗塞の第2B相臨床試験は主要評価項目未達。
この失敗によりマザーズ市場は後にサンバイオショックと呼ばれる暴落をおこします。
期待されていた故にその反動が大きかったのです。
発表当時サンバイオは「結果の詳細解析を進め、開発を続行する」としています。

その1年半後の2020年9月、決算説明会でようやく今後の方針が明らかになりました。

「再生細胞医薬品「SB623」慢性期脳梗塞を対象とした米国でのフェーズ2b臨床試験の追加解析結果及びこれに基づく開発計画の変更について」(pdf)
「2021年1月期第2四半期決算説明会資料」(pdf)

国内の脳梗塞/脳出血を前倒しして開発続行、ただし・・・

要点は2つ。

1)失敗に終わった米国第2B相臨床試験の追加解析の結果、梗塞範囲が小さい場合に優位性があると判明
2)予定していた米国の臨床試験を遅らせ、国内の脳梗塞/脳出血の臨床試験を前倒しする

つまり、

SB623は小さい梗塞に効果があるので、それを踏まえたうえで脳梗塞/脳出血の国内承認を優先するということです。

国内の脳梗塞/脳出血が優先されるのは良い知らせです。
しかし臨床試験の対象を「小さい梗塞の患者のみ」に絞り込むのです。

残念ですが「SB623は重い後遺症の患者には効果が期待できない」ことをサンバイオが認めたようにも受け取れます。
完全に比例するわけではありませんが、梗塞のサイズが大きいと後遺症も重くなります。
たとえ早期に承認されても最も必要としている患者への投与が出来ないのかもしれません。

この条件でも改善したと判断できるのは25/51名(49%)と半分だけ。
偽薬でも5/26名(19%)の方が改善しているので30%だけ優位となります。

梗塞のサイズが小さい患者に投与すると30%改善が見込める。

だいぶ寂しい結果になってしまいました。

SB623は梗塞巣が小さいほど改善する

以前私は外傷性脳損傷に効果があり、脳梗塞で効果がないのは患部周囲の血管の状態が影響しているからではないか、と書きました。
脳梗塞は梗塞が発生した箇所だけに動脈硬化や血栓が発生するのではありません。
脳、いや体全体にその傾向が見られます。

しかし外傷性脳損傷、つまり事故で脳障害が発症した方は比較的若い方が多く、血管もキレイなはずです。
このため脳細胞を再生するには周辺の血管の質が重要なのかもしれない、と考えたのです。

今回の「小さい梗塞であれば効果がある」という解析結果もこれに近いものを感じます。
周囲を生きた血管で囲まれていたほうが脳細胞を再生しやすいのは納得がいくのです。

質疑応答より引用。

梗塞巣の大きさの程度と改善度合いは、比例関係があるのでしょうか。

はい、相関関係があると、当社としては考えています。一般的に梗塞巣が小さいほど、改善度が高いことがわかっています。

脳梗塞で今後実施する治験は、梗塞巣サイズが一定量未満の患者を対象に行われるということでしょうか。

先ずは、当局と相談することになりますが、現時点では梗塞巣サイズが一定量未満の患者さんを対象にしたいと考えていますが、治験デザインの詳細については引き続き検討していきます。

出典)「2021年1月期第2四半期 決算説明会質疑応答要約と補足資料」

残念ながらSB623は私達が夢見ていた脳卒中の特効薬ではなくなっていました。

しかし過去に例のない全く新しい薬です。
現時点ではまだ効果的投与方法を模索している最中だと思います。
今後もなにか気づきがあれば効果が大きく改善することもあるでしょう。
今は開発続行の判断を歓迎し、暖かく見守りましょう。

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