脳卒中治療薬「SB623」の開発状況は?

脳細胞の再生を可能にしたサンバイオの画期的新薬「SB623」
実用化されれば慢性化した脳卒中後遺症でも改善が期待出来ます。
新薬開発の状況はどうなっているのでしょうか。

実は今年に入りいくつか動きがありました。
要点をまとめておきましょう。

脳卒中治療薬としての「SB623」に関する動き

2018年2月14日 国内脳卒中向けの開発を請け負っていた帝人との提携解消

サンバイオと帝人は2018年2月14日「日本における脳卒中を適応症とする独占的な開発および販売」に関するライセンス契約を解消しました。
理由は「開発方針に相違が生じた」とのこと。

いきなり穏やかではない話です。

2018年3月13日 日立化成と製造に関する業務提携

帝人との提携解消の1ヶ月後、サンバイオと日立化成は「SB623」の製造に関する業務提携に合意。
この契約は新薬の開発ではなく製造に関するものです。

詳細はこちら、サイバイオIRニュースを参照してください。
http://www.sanbio.jp/ir/news.html

つまり、今後国内の脳卒中に対する新薬開発はサンバイオが主導して行われます。

開発 帝人 → サンバイオ
製造 帝人 → 日立化成
販売 帝人 → サンバイオ?

サンバイオは国内の慢性期脳梗塞に対して「平成 30 年2月より独自開発の準備開始。慢性期脳梗塞としては世界のどこよりも早く日本で最初の上市を目指す。と前向きです。なにか問題が生じて開発中止になったのかと不安がよぎりましたがそういうわけではなさそうです。

正直なところ、患者目線では「SB623」は国内の脳卒中に対してだけ何も進展していないように見えていました。治験は人の命がかかっているために簡単には実施できないのでしょう。いくら早期承認制度が整備されても治験がスタートしなければ実用化はできません。これらを踏まえると、海外治験の結果を待ちたい帝人とすぐに進めたいサンバイオの方針の相違、そんな話なのかなと憶測してしまいます。

現時点の開発進捗

現時点の開発進捗は以下のとおりです。

2018/04/02 SB623開発進捗
対象疾患 地域 現在の進捗状況 今後の予定
慢性期脳梗塞 米国・カナダ 平成29年12月、フェーズ2b(二重盲検、被験者163名)の患者組み入れ完了。 12か月の経過観察期間を経て、平成32年1月期前半に結果発表予定。
慢性期脳梗塞 日本 平成30年2月、帝人株式会社から開発権および販売権が当社に返還。 平成30年2月より独自開発の準備開始。慢性期脳梗塞としては世界のどこよりも早く日本で最初の上市を目指す。
慢性期外傷性脳損傷 グローバル(米国・日本) 平成30年4月、フェーズ2(二重盲検、被験者61名)の患者組み入れ完了。 組み入れ完了後6か月の経過観察期間を経て平成31年1月期中の結果発表を予定。日本では、実用化に向けて日本の条件期限付き早期承認制度の活用を前提に、平成32年1月期中の承認申請を目指す。

※IRニュース2018年4月2日付け「再生細胞薬「SB623」の開発進捗総括の更新について」より

今後、国内の脳卒中に対する情報はサンバイオから出されることになります。
気になる方はこちらの2つのページでチェックしましょう。

●IRニュース(投資家向け広報)

http://www.sanbio.jp/ir/news.html

●ニュース

http://www.sanbio.jp/news/

注目ポイント

大きなポイントは2つ。

①国内の脳卒中に対する治験がいつ始まるのか?

これで新薬実用化までのスケジュールが見えてきます。

②米国カナダの治験の結果は?

現在米国カナダで実施されている慢性期脳梗塞に対する治験「フェース2b」の結果が平成32年(2020年)1月に公開されます。
これでSB623の脳卒中後遺症に対する効果の全容が明らかになるでしょう。
期待しましょう!

治験に関して

「SB623 治験」というキーワードでこのサイトに訪れる方が多いので少しだけ。
しばらくすると慢性期脳卒中に対する治験募集が行われると思います。
こちらのページで確認してください。

●治験案内(サンバイオ)

http://www.sanbio.jp/clinical_trials/

ただ、新薬は早期承認制度を活用すること、そして治験では偽薬担当になる可能性があることを考慮すると「治験で治す」という考え方は正解ではないのかもしれません。
治験の応募はそれらをよく考慮した上で判断してくださいね。

今後に期待!!

突然の提携解消で不安にもなりましたが、これで脳卒中治療薬の開発が加速するのではないでしょうか。
ベンチャー企業のフットワークの軽さに期待します。
脳卒中治療薬「SB623」、これからも注目していきましょう。

スポンサーリンク
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

  1. 鈴木寿光 より:

    私も去年8月に脳出血しました左腕と手左足が麻痺してます只今リハビリしてますがなかなか元のようにうごきません早くこの薬を使いたいです

    • ameo より:

      コメントありがとうございます。
      管理人のameoと申します。

      数年前までは夢の新薬でしたが徐々に現実的な話になってきましたよね。
      認可された際には先駆的な治療を行う大学病院が先陣を切るのではないでしょうか。
      外傷性脳損傷の治験では一例目が東京大病院だったそうです。
      順番待ちで何年も無駄にしないように情報収集はしっかりしておきましょうね。

  2. 吉川 より:

    米国の慢性脳梗塞の「フェース2b」の結果発表は、2020年1月期 前半に公表予定となっていますので、平成31年の7月までに結果発表されると思いますよ。

    • ameo より:

      管理人のameoと申します。
      コメントありがとうございます。

      情報感謝します!
      正式公表の半年前に試験結果の概略が伝わってきそうだということですね。
      あと一年とちょっと、もうすぐです。
      動いた! 出来た! 分かった!
      そんな歓喜の声が聞けることを楽しみにしています。

  3. 寺戸 剛 より:

    私は脳出血となりました。
    41歳の時でした。
    右側全身麻痺と言語障害でした。
    今は44歳です。
    色々調べた結果、脳梗塞と脳出血
    と、くも膜下出血に分類されていて
    今回のサンバイオ株式会社が運営しているSB623の所へ問い合わせてみると、
    やはり脳梗塞との事で、私の探している脳出血ではありませんでした。
    脳出血は脳梗塞よりまだ数が少なく
    やはりホームページでご確認くださいと言う事でした。
    でも、同じような病気ですので
    もっと会社にアピールが必要でわないかと思いました。
    もし宜しければ是非、私の求めている脳出血に使える新薬を探しては貰えませんでしょか?
    どうか宜しくお願い致します。

    • ameo より:

      寺戸さん、こんばんは。
      管理人のameoです。

      私の知る限りでは札幌歯科大学付属病院も再生医療の治験を実施中ですね。
      http://web.sapmed.ac.jp/saisei/index.php
      しかしこちらも対象は脳梗塞です。
      さらに「発症直後の方のみ」という厳しい条件もあるためなかなか集まらないのでしょうか、数年前から募集中のままです。
      実用化のめどが立つのは相当先になりそうですね。

      サンバイオのSB623に関してですが、
      慢性期であれば脳細胞が壊死してなくなっているのですから脳梗塞と脳出血に大きな違いはありません。
      外傷性脳損傷と脳梗塞に効果があるなら脳出血にも効果があるはずです。
      ですので、まずは脳梗塞で認可を受け、その後に対象を脳出血やクモ膜下出血に広げていくのではないでしょうか。
      脳梗塞以降のシナリオを開示してくれれば私達も安堵できるのですが。

      • 寺戸 剛 より:

        わかりました。ありがとうございます。お互いに頑張っていきましょう。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です