私は脳卒中に分類される脳出血を起こしましたが、さらに出血した部位で細かく分けると「視床出血」という疾患です。
この視床出血について整理していきましょう。
視床出血を分類しよう
脳卒中から分類していくとこのようになります。
脳出血は出血した場所で細かく分類されており、視床出血は脳卒中全体からすると9%程度の発生率になります。
また視床出血は死亡率が高く、死亡を免れたとしても後遺症が残ることが多い疾患です。回復をしていてもなかなか認めてもらえなかったり、リハビリなしの退院を先生方が全く考えていないことに違和感を感じていましたが、おそらくこういう背景があったからなのでしょう。
視床とは
視床は大脳新皮質に包まれ、頭の中心にほぼ位置している脳の部位です。
確かに診察時にこの位置が白くなったCT画像を見せられましたね。
嗅覚を除いた視覚、聴覚、体性感覚などの感覚を大脳新皮質へ中継する重要な役割を担っています。
このためこの部位に障害を持つと知覚が正常に機能しなくなります。
視床出血で起こる症状とは?
・視床が感覚を伝達する役目を担っているため、障害を受けた視床の反対側の半身に感覚障害やしびれが起きます。具体的には痛みや感触がわからなくなったり、正しい温度が感じられなくなったりします。
・出血が視床の周囲に広がった場合は軽い半身麻痺、視床性失語が起こることがあります。
・目の位置が左右で異なり視線が揃わない症状が出る場合があります。
・発症した数カ月後に麻痺側の手足に強い痛みを感じる視床痛が起こる場合があります。
・脳出血後にてんかんが発症するようになるケースもあります。
私の場合はどうだったのか?
視床出血でしたが感覚に関する障害は目立ってありません。
極稀にですが麻痺側の右手が冷たくなる場合がありますが、感覚が無くなるというわけではありませんのでちょっと違いますね。
視覚に関しては、目の位置は現時点では問題ありません。ただしICUに入っていたときに物がダブって見える症状が出ていました。看護師さんが何度か目の確認をしていましたので、おそらくこの症状が出ていたのでしょう。
視床痛は今のところはありませんが、これは数カ月後に発生することが多いとのことですので起きるとしたらこれからでしょう。
軽い右半身麻痺と失語症の症状がでていますので、視床以外にも出血の影響があったことになります。しかし出血量が少なかったため大事に至らなかったようです。
また脳出血で一番多い被殻出血の場合は意識を失うことが多いと言われていますが、私が意識を失わず自分で救急車を呼べたのも視床出血だったためと言えるかも知れません。
視床性失語とは
視床出血の失語症には「視床性失語」という症状があります。
視床性失語
視床性失語の特徴は、自発語の減少、声量の低下、錯語、呼称障害、保続、理解障害などが知られている。復唱、音読は保たれており、症状が早期に改善することが多いと言われている。
「あーコレだ」と実感できるほどこの通りの症状が出ていました。
「自発語の減少」:
ICUに入っていた頃は自分の思いを言葉にすることが出来ないどころか、相手の言葉を理解するのも困難なため、看護師さんに自分から話しかけることはしませんでした。
「声量の低下、錯語、呼称障害、保続、理解障害」:
発症直後に救急相談センターに電話をしていたときからこれらの症状がでていました。声が小さくなり、相手の言葉を理解できなくなり、そして説明が出来ない状態です。これでよく内容が伝わったものです。
●参考)発症当時の状況
早期に改善することが多いとのことですが、確かに私の場合も3日目にスッと症状が軽くなりました。
今後注意しなくてはいけないことは?
まず高血圧を抑え込んで脳出血の再発だけでなく脳卒中や心筋梗塞などを起こさないようにするのが大前提です。
それでも後遺症として遅れて発生する症状もあります。
てんかんに関しては全く気にしていませんでした。発症するかはまだわかりませんが、こちらも詳しく調べて出来る限りのことをしておかないといけませんね。
発症4ヶ月ですので視床痛の有無がわかるのはこれからでしょう。猛烈な痛みで薬も効かないという恐ろしい状態になるようです。これは回避できるように祈るしかないのでしょう。
自分に起きた視床出血をまとめてみましたが、頭の中でこんなことが起きているという事実はやはり恐怖です。全てを受け入れて出来るだけのことをするしかないのですが、それでも及ばなかったときは自分がどうなってしまうのか、それを考えるととても憂鬱になります。
もちろん自我が残っている限り諦めずにあがき続けるつもりではいますが、発症直後のように考えることすらままならなくなるともうお手上げでしょう。とても悲しいことですが最悪のことも考えて用意しておかないといけませんね。
コメント
ほぼ同じような状況です、年齢は50歳で脳出血を発生しました。発生当初は死ぬか半身不随と言われていたらしいですがほぼなにも後遺症がないまま1ヶ月で自転車に乗れるまで回復しました。再発の恐怖は有りますが、管理してがんばっていこうとおもっております。再運転もできるようになりたいですし、仕事もしたいです
nickさん、こんにちは。
管理人のameoです。
コメントありがとうございます。
コメント掲載が遅れてしまい申し訳ありません。
脳出血仲間ですね。
後遺症がほとんどないというのは極めて幸運ですよ!
脳卒中には血管が詰まる脳梗塞と血管が破ける脳出血/くも膜下出血があります。
共通する原因は高血圧ですが、細部まで見ると少し異なります。
脳梗塞はプラークの削減が再発防止のキーになります。
私達脳出血患者の弱点は血管の脆さです。
脳出血の再発を防ぐためには「血管を柔らかくしなやかに変化させる」、これが最重要課題です。
食事、運動、喫煙、ストレスなど、血管が脆くなる原因が今までの生活のどこかにあったはずです。
「血管を柔らかくする」というテーマでもう一度生活を見直してみてくださいね。
そうすれば再発は防げるでしょう。
そして血管を柔らかさも定期的に検査しましょう。
検査結果が改善すれば再発の恐怖も消え失せますよ。
私ももうすぐ50歳ですがまだまだやりたいことがたくさんあります。
一緒に長寿を目指しましょうね!
ameo様
初めまして。そして、ありがとうございます。心から感謝しています。
先月、主人が脳出血(右視床出血)で倒れ、救急搬送して頂き、入院中です。
コロナのせいで、まったく面会が出来ず、悶々とした毎日で泣いてばかりいます。
主人がICUで、痛い思いをしているのではないか、何を感じ、考え、どういう処置を受けているのか、回復しているのか、話せるのか、自分から要求できるのか、私が差し入れた写真や手紙を見せられて認識しているのか・・・心配で気がおかしくなりそうです。
そんな中で、ameoさんのブログを読ませて頂き、主人の気持ちや様子が少しわかったような気持ちになりました。「そうか、悪いことだけじゃないのかもしれない」と思えたのです。
日付や経過がとてもわかりやすく記載されており、その時々で何が必要になるのかも勉強になりました。
そして、これからの主人と私たちの未来に希望を持っていいんだなと思えたのです。
1ヶ月、3カ月、半年・・・大変なことや悪いことばかりを想像して、暗闇にいましたが、回復すれば出来ることも増えてくるんですよね。
さらに、体調管理の重要性もひしひしと伝わってきました。
不安ばかりですが、1日1日を過ごしていくしかないと覚悟して、皆で生きて行こうと思います。
くじけそうになったら、ameoさんのブログを何度も読ませて頂きます。
本当に、本当に、ありがとうございます。助けられました。
始めまして。
管理人のameoです。
コメントありがとうございます。
心よりお見舞い申し上げます。
突然の出来事で困惑しているとは思いますが今が最も大切な時期です。
気を強く持って下さいね。
面会できるまでの間、脳障害の後遺症とリハビリに関する知識を身に付けておいてください。
そして患者や介護者の記録もたくさん読んでおきましょう。
そうすれば面会直後からやるべきことが自ずと見えてきます。
今のご主人を受け入れる覚悟もできるはずです。
脳出血を起こした生活も一新して体質を改善しないといけません。
やること沢山ですね。
でもこれらは元の生活を取り戻すために必ず役に立ちます。
もう嘆いている暇なんてありませんよ。
どんどん前に進みましょう!