厚生労働省の「食事摂取基準」が2015年4月に改定されます。
改定のたびに減っていく食塩摂取基準がまた減ってしまいました。
食事摂取基準とは
「食事摂取基準」とは国民の生活習慣病の予防のため、健康診断の指導や給食の献立の基準として厚生労働省が目標を定めたものです。
5年に1度見直されており、2010年に続いて今年2015年も幾つか見直しがありました。
●「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
食塩摂取量の目標値変更
この報告書では高血圧予防のため食塩摂取量の目標値が提示されています。
食塩摂取量の目標値は改定のたびに減っていくことで毎回話題を振りまきますが、今回もやはり減りました。
2010年版の男性9g未満が2015年版では8g未満、女性は7.5g未満が7g未満となりました。
これはまだ高血圧を患っていない健康な方の「食事の改善」としての目標値です。
実際の食塩摂取量の平均は2013年の調査で男性11.1g、女性9.4gです。
平均的摂取量の男性でも3.1g、女性が2.4g減らさなくてはいけません。
ちなみに高血圧患者の「食事療法」としては男女とも6g未満が一般的です。
参考までに、2013年の世界保健機関(WHO)の一般成人向けガイドラインでは5g未満、2010年のアメリカ心臓協会(AHA)では一般成人が5.8g未満、高血圧など高リスク者では3.8g未満としています。
エネルギーの摂取量と消費量のバランスをみる指標としてBMIを採用
適切なエネルギーが摂取できているかの判断をするために、性別と年齢、活動レベルだけで基準摂取カロリーを決めていました。
しかしこの方法では体格差が考慮されていないため、大柄な人と小柄な人が同じ摂取カロリーになってしまう問題を抱えています。
そこで今回の改定ではBMIを採用し、この範囲から下回っていれば不足、上回っていれば過剰と判断されます。
年齢 | BMI |
---|---|
18~49歳 | 18.5~24.9 |
50~69歳 | 20.0~24.9 |
70歳以上 | 21.5~24.9 |
個人的感想
1日6g制限の食事療法中の私が言うのもなんですが、食塩摂取量の目標見直しはなかなかきついですね。
1食に直すと男性は2.6g未満、女性は2.3g未満となり、高血圧患者の塩分制限の2g未満と大して変わらなくなってしまいます。
5年後の改定では1日6g未満で統一されてしまいそうな勢いです。
冷静に考えると日本の食文化と外食産業を破壊しないかぎり達成は出来ない矛盾がありますが、この食事摂取基準には絶対遵守という強制力はなく「理想の目標値」という意味合いが強いためやむを得ないのかもしれません。
ただ給食はこれから5年間これを基準に作られますので、子どもたちの給食に悪い影響がでないとよいのですが。
そこが心配です。
何はともあれ、これを掲げるのならぜひ厚労省の食堂から1食2.6g未満でキッチリ対応していただきたいですね。
結構ツライっすよ。