もし、街中で脳出血を再発してしまったら、私には何ができるでしょうか?
脳出血を経験しているため、出来ることが限られているということは身にしみてわかります。状況を把握して必要があれば救急車を呼ぶ、そんな簡単なことすら困難になるのです。周囲の人に助けを求めることも考えておかなくてはいけません。
今回は、そんな事態を想定した緊急連絡先カードを作りましょう。
なぜ、高血圧の人が緊急連絡先カードを持たなければいけないのか
私が脳出血を発症したとき、症状は片麻痺だけではありませんでした。失語症と高次脳機能障害の症状も出ており、思考することも困難になったのです。救急相談センターに電話をしても、会話の中でなんで電話をしたのか分からなくなったり、目に写ったモノに意識を奪われて直前まで考えていたことを忘れてしまったりするのです。
●発症時の様子
2014/12/27 その日は突然やってきた(前編)
こんな状態でもなんとか救急車を呼ぶことが出来ましたが、この私の脳出血でも一般的に見れば極めて軽症です。
脳出血や脳梗塞、クモ膜下出血などの場合、自分で自分の症状を正確に把握して救急車を呼ぶという、一見簡単そうにみえることが出来なくなる可能性が高いのです。そして「アレ?なんかおかしいな」と思った直後に意識を失う人も多くいます。自分だけでなく周囲の人も発症直後の対応が難しい疾患でもあるのです。
しかし、脳卒中は治療開始が早ければ早いほど後遺症を軽減できます。脳梗塞であれば血栓を溶かすt-PA治療が使え、脳出血やクモ膜下出血であれば降圧剤を投与することで出血量を減らすことができます。
つまり、脳卒中を発症すると自分で判断することが難しくなる反面、緊急を要するのです。
心筋梗塞も同様です。心臓の活動が急激に低下して血流量が減るため、単に苦しいだけでなく、脳の活動が低下して意識を失うこともあります。
これら高血圧の合併症を発症する恐れがある場合、自分で対応することが出来なくなることも考慮しておかないといけないのです。
そんなときに役に立つのが緊急連絡先カードです。
自分に合った緊急連絡先カードとは
緊急連絡先カードは企業や自治体から入手することができます。ネットでもテンプレートがたくさん公開されているので印刷をして使うのも良いでしょう。
・緊急連絡先カード
・救急カード
・エマージェンシーカード
・防災カード
・高齢者安心カード
いろいろな名称が付けられていますので、自分に合ったものを探してみましょう。
私の場合、もっとも懸念しなくてはいけないのが脳卒中の一つである「脳出血」です。既に一度発症していますので、再発する可能性は他の疾患より高いといえます。
そんな自分に合った緊急連絡先カードを作ってみましょう。
ハイ完成。
ポイントは以下のとおりです。
①まず伝えたいことは「助けてください!!」
失語症や高次脳機能障害の症状は一見泥酔者にも見えてしまいます。「うわー、なんか酔っぱらいのオッサンに絡まれたー」と思われないようにしないといけません。
そこでストレートに「助けてください!!」です。
②何をして欲しいか明記しよう
助けを求められた方が苦しんでいる理由を正確に判断することはできないでしょう。このため、相手が対応に困らないように何をして欲しいかをしっかり書いています。
高血圧の合併症の場合は「具合が悪そうなので意識が戻るまで寝かせておこう」では困ります。一刻も早く病院に搬送してもらわないといけません。このため、救急車を呼んで欲しいという旨を明記しています。
そしてこのカードを救急隊員に渡してもらいましょう。
③病歴や症状も書いておこう
もし意識を失ってしまった場合、救急隊員は倒れた原因を判断することが非常に困難になります。どの病院の何科に搬送すればよいのかが分からなくなり、ときには専門外の病院に運び込まれてしまうこともあります。
このカードを見ればおおよそのことが推測できるように、
・過去の疾患
・発症が懸念される疾患
・常備薬、アレルギーや麻酔の影響など
を記載しておきましょう。
そしてカルテがあるかかりつけの病院に連絡が取れるようにしておきましょう。
一番の効果は「安心」
一瞬で意識を失いカードを取り出せなかった場合や、意識がもうろうとしてこのカードがあることに気がつけなかった場合など、心配を考えればキリがないのですが、持っていてマイナスになることはありません。緊急時にこのカードを手に握ることさえできれば、結果として後遺症が減り、失う命さえつなぎとめることが出来るかもしれないのです。
私も再発の危険性があることを自覚しておきながら、何の用意もしていなかったことはあまりにも無防備でした。後になって後遺症に苦しむくらいなら、こんなカードを用意しておくことなんて本当にたやすいことです。
血圧が高い方、そして合併症を経験している方は緊急連絡先カードを必ず身につけるようにしましょう。
「万が一」がこなくても日常生活の不安を減らすお守りになってくれることでしょう。
コメント
度々すみません、私自身も未だ少し信じられない気持ちもあるのですが、もし信じてもらえなかったら?と思うと少し心配になってしまって…。家族も救命講習を受けてそう言われたと言ってたり、少し詳しくなりすぎる感じになってしまうのですがこんな資料がありましたので、よかったら参考にしてください。
https://hosei.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=13487&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
コメントありがとうございます!
返信が遅れてしまい大変申し訳ありません。
海外からのスパムコメントが多いので初回コメントは承認制にしています。
情報感謝します!!
そこが心配なのですよね。。
私が発症したときは朦朧としながらも意識が残っていたので、カードを取り出すことを前提に考えていました。
意識を失うまでにカードのことを思い出せるか、思い通りに体が動かして取り出せるか。
そこには分の悪い賭けが残ります。
ですのでカードケースに入れてバッグや首にかけるのは良いアイデアですね。
その際には「助けてください!」は物騒過ぎるので「緊急連絡先」だけにしておいたほうが良さそうです。
脳卒中に限らず高齢の方にも携帯できるカードが一般化すると良いのですけどね。
車椅子マークやマタニティーマークのように厚生労働省あたりが音頭をとってくれると嬉しいのですが。
コメントありがとうございます…!私のコメントが反映されてない事で慌ててしまいましたが、すみませんでした…。
確かにヘルプマークという取り組みがあるみたいなんですが(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/helpmarkforcompany/)本当は症状別にわかりやすいマークになってると良いですよね。
ameoさんの脳梗塞の発作の時の状況を聞いて、甘く考えてはいけないな…と思いました。今はかなり回復したんですが、実は私の祖母も、昨年心臓発作で倒れてしまって。脳梗塞と心臓発作では異なりますが、本当に具合が悪くなった時って、緊急通報など普段なら簡単に出来る事もすごく難しくなってしまいますね。。。
祖母の事で調べていたら、アップルウォッチに転倒検出機能→緊急通報機能等があると知りました。ただ私自身はじめて知ったことなので、ご注意して頂きたいのですが、転倒検出機能をONにする必要があったり、他にもメディカルIDなどの設定が必要だったり、モデルの違い(Series等の確認と、セルラーかGPSか)があるとの事。また、iPhoneユーザーでなくても使える?かもしれないなどでした。もしよかったら調べてみてください。(参考:Google検索ワード「アップルウォッチ 転倒 検出」)
あと、アップルウォッチ以外のスマートウォッチと呼ばれるものでもこういった機能が無いか探してみました。119に通報できるかどうかまでは確認出来なかったのですが、Galaxy watch3に似たような機能があるみたいです。
その他、そこまで信頼できる訳ではない?みたいではあるんですが(https://iphone-mania.jp/news-316637/)心拍数の記録が脳梗塞の予防に繋がるといった記事も見かけました。(参考:Google検索ワード「アップルウォッチ 脳梗塞」)
スマートウォッチは今、開発が進んでいるみたいです。高齢者でも簡単に使えるような良いアイテムが登場してくれると良いですね。
最後に、先日紹介したリンク先PDFでICチップの事があって、それに関連して念のため伝えさせて頂きたいのですが…。緊急連絡先をQRコードなどで伝える方法もあるみたいなんですが、災害時などは電源の確保が難しく結局使えない等もあるので、この点ご注意して頂いたり、お考えの場合はこれもお医者さんにご相談頂ければと思いました。
最近は、何事も無く、無事に過ごせるありがたさが身に染みます (T_T)
お大事になさってください。
長文失礼しました💦
ヘルプマーク、良い試みですよね!
席を譲っていいのか迷うことも多いので広く普及するといいですね。
ただ私個人が困ってしまうのは「障害のない健常者」を装っている(?)ので普段の生活で配慮や援助をいただくわけにはいきません。
ですのでやはり「発症後にヘルプマークを取り出す」という矛盾からは逃れられません。
おそらくてんかんの方も同じようにマーク提示をためらってしまうかも。
私達は難しい立ち位置にいるようです。
もう一段ゆるくして「倒れたら助けて」というマークが欲しいですね。
でも「倒れたら助けて」は全ての健常者にも言えること。
万人に向けて即座に緊急連絡先/病歴/かかりつけの病院などが提示できるシステムが必要になるのかもしれません。
そういえばマイナンバーにカルテを紐つける話もありましたね。
その後進展は聞きませんがどうなるんでしょう。
アップルウォッチのようにイザというときに容易に連絡が取れる機能はありがたいです。
脳卒中には
・意識があっても正しく認識/判断ができない
・急に眠たくなって横になったら・・・
というケースもあるので転倒検出で全ての発症を検知できるわけではありませんが、これからスマートウォッチを装着していたゆえに助かるケースも増えるでしょう。
少しでも穴を塞ぐという意味でもこのようなアプローチはありがたいです。
アナログではありますが、誰かと常に一緒に行動するのが一番簡単なんでしょうね。
独り身の私としてはそれが一番難しい(笑)