ランニングの発汗で塩分がどれだけ排出できるのか調べてみよう【炎天下編】

「ランニングの発汗で塩分がどれだけ排出できるのか調べてみよう」の続きです。
前回は梅雨の合間の肌寒い曇の日でしたが、今回は炎天下で試してみます。
おそらく一番汗をかきやすい環境ですので、そこで発汗量と塩分量を算出します。
もしかしたら相当量の脱塩分が出来るかも知れません。

発汗量の測定方法

汗の量は前回同様にランニング前後の体重差で算出します。

20150706_salinity_of_sweat_03

まだ梅雨明けはしていませんが、近づいてきた台風の影響で今年一番の夏日となりました。気温は33℃程度ですが風が弱く、アスファルトの上に立つとムワーっと熱気が上がってくる絶好の汗かき日和です。

自分は汗をかきやすい体質だということが前回の測定でハッキリ分かりましたので、今回は午前中から水分をしっかり摂取しています。さらに水分補給として500mlのスポーツドリンクを持って走ります。

今日の課題は10km走でスタートは午後の2:30です。
最近のランニングの実績からすると10kmなら1時間程度で走れるはずです。

ではいってみましょう!!

まず走った直後の感想

いやー危なかった・・・。
すいません。炎天下、舐めてました。

走る前から汗がにじむ熱気でしたが、走りだすとあっという間に汗だくに。
それでも前半はまだ良かった。
後半になると熱気にやられてペースは極端に落ち、1kmごとに木陰で休憩をしないと前に進めないという非常事態に。
結局10kmの完走はしたものの、かかった時間は1時間22分。時速に換算すると7.3km/hというスローペースです。

驚いたのが走った後の血圧です。一息ついてから血圧を測定すると95/43という今までに見たことがないような低血圧に。おそらく発汗により血液が減少し、更に熱で血管が拡張しているために血圧が極端に下がってしまったようです。
つまり脱水症を起こしていたのです。

発汗量は?

走った距離(km) 運動前の体重(kg) 運動後の体重(kg) 体重変化(kg) 備考
10 62.8 60.7 -2.1 500mlの水分補給あり

体重の変化から算出した発汗量はなんと2.1リットル!!
さらに走りながら500mlのスポーツドリンクを飲んでいますので、実際の発汗量は2.6リットルということになります。

1時間22分で2.6リットルですので、1時間で2リットル程度の発汗量でしょう。曇の涼しい日の発汗量は1時間で1リットル程度でしたので、炎天下になったことで発汗量は倍に増えたことになります。

排出した塩分量は?

運動時の汗の塩分濃度は一般的に0.3~0.9%と言われていますので、前回同様に一番小さい値0.3%を使っても7.8gの塩分を排出したことになってしまいます。

(2.6×1000)×(0.3/100)=7.8

塩分7.8gというと成人の1日の塩分摂取量程度です。また高血圧患者の塩分制限の基準である1日6gをゆうに超えています。
0.1g単位で塩分を気にしながら摂取量を減らしてきた高血圧患者にしてみれば「今までの苦労は何だったの?」といいたくなるほどの排出量です。

「大量発汗による塩分排出は食事による塩分制限を少しだけ手助けする」という程度のモノではなかったのです。毎日大量発汗をする運動さえ続けていれば体内の塩分は低い値に留めることが出来る可能性があるということです。

そうなると問題になるのは「0.3%」として仮定をした汗の塩分濃度です。
もし実際の塩分濃度が倍の0.6%だったら、いずれ塩分不足により低ナトリウム血症やナトリウム不足による脱水症を引き起こしてしまいます。
汗の塩分濃度は軽い運動で薄く大量発汗で濃くなるという特性があり、さらに運動量と発汗量の関係も個人差がありますので、積極的に運動で脱塩分を試みるなら自分の汗の塩分濃度を正確に知る必要があります。

ということで覚悟を決めて塩分計を購入します。

実は脱水症の危険領域に入っていた

大量発汗で注意しなくてはいけないのが脱水症です。

失った水分量が体重の2%を超えると運動能力が低下し始め、3~5%で目眩、頭痛、疲労感、眠気、食欲低下などが起き、明らかに自覚できるほど運動能力が低下します。これを超えると意識障害を起こし、血圧の低下により内臓の活動が滞り、更に症状が進むと意識を失います。
このため運動の発汗による体重減は2%以内に留めるというのがセオリーとなっています。

今回は500mlのスポーツドリンクを飲んでいたのですが、それでも差し引き2.1リットルの汗をかいています。これは体重の3.4%に相当します。つまり脱水症が起きても不思議ではない領域に入っていたのです。そして実際に疲労感や極端な血圧低下、明らかな運動能力の低下がありましたので、軽度の脱水症を起こしていたことは間違いないでしょう。

どうすれば脱水症を防げたのか

私は汗をかきやすい体質ですので、炎天下に運動をするのであればもっともっと積極的に水分補給をしないといけないということです。
ただし汗と同じ量、つまり1時間に2リットルの水分を運動をしながら飲めるかと言われるとさすがに無理でしょう。

この辺りの矛盾は解決できそうもありませんので、炎天下の運動では

・出来る限り積極的に水分を摂取し、体重減は2%以内に留める。つまり運動量を調整することも必要。
・運動能力の低下を自覚したらすぐに中断する。

という認識でいきましょう。

具体的には体重の2%が1.25kgであれば、

発汗1.5リットルの運動をしたときは水分補給で500ml
発汗2.0リットルの運動をしたときは水分補給1リットル

という感じです。

汗をかきやすい人であるということは「発汗が多いので塩分を排出しやすい体質」という高血圧患者としては素晴らしいメリットがあるのですが、裏返すと「発汗が多いので脱水症になりやすい体質」というデメリットが存在します。このことをしっかり自覚しないといけません。

脱水症その後の体の変化

しばらく虚脱感に体を支配されていました。筋肉自体は疲れてはいませんが、とにかくだるくて眠くて動きたくないのです。水分・糖質・ミネラルを補給して体を元に戻さないと危険です。オレンジジュース・味噌汁・塩昆布・アイス・チョコレートなど体が欲しがるものを好きなだけ摂取しました。

体調不良はしばらく続きましたが3時間後の夜7時頃に復活。ただし就寝前の血圧は104/59という異常値でしたので、厳密にはまだ体にはダメージが残っていたようです。

まとめ

発汗量が多い人炎天下に運動をすると、

  • 1時間で2リットル程度の汗をかく。
  • そのときに排出出来る塩分は少なく見積もっても2000×0.3/100で6.0g。
  • ただし脱水症になる危険性大。
  • 水分補給は一般的な「適度に」ではなく可能な限り多めに。それでも最後は不足する。
  • そういう体質なんだからしかたない。

もちろん「炎天下の運動は控えましょう」というのは至極当たり前のことですが、今回の一件はあらためて炎天下の危険性を身をもって知る出来事となりました。
やはり無茶はいけませんね。

今後の方針

脱水症になってしまいましたが、運動による大量発汗で想像をはるかに超える塩分の排出ができそうだということがわかりました。世の中の高血圧対策は「塩分の摂取を控える」ことに重きを置かれています。そして活動量が違うすべての人を同じ塩分量で規制しようとしています。一日中体を動かし大量に汗をかく人と一日中同じ椅子に座っている人では必要な塩分量は違うはずです。これを同じものとして論じてしまうのはちょっと無理があるのではないかと思います。

なぜかあまり言及されませんが、減塩には「塩分を排出する」という手法があるのです。発汗脱塩法とでも言うのでしょうか。汗をかくほどの運動ができない人や汗をかきにくい人には申し訳ないのですが、汗をしっかりかける人がこれを活用しないのはモッタイナイ。

そして運動には肥満防止やストレス解消にも効果絶大です。もしかしたら運動は高血圧の特効薬になるのかもしれません。

ということで、これから
「発汗による減塩は本当に効果があるのか?」

これを自分の体を使って検証してみたいと思います。

毎日汗をかく運動を続けながら塩分の摂取制限を徐々に解除してみます。おそらく腎臓や発汗による塩分調整の機能が正常に働いているならうまくいくのではないかと考えています。

もしこれがうまくいけば外食の塩分過多なメニューも食べることができるなど、食に関する自由度が一気に増します。もう一度普通の食生活に戻れるかチャレンジをしてみたいのです。

このためには運動で塩分がどれだけ排出できているかがキモになりますので、推測で決めつけている汗の塩分濃度0.3%を正確に測らなくてはいけません。ちょっと値が張りますが、もう観念して塩分計を購入してしまいます。塩分計さえ手に入れば正確な塩分排出量が算出できます。憶測で決めつけて高血圧症を再発させてしまっては元も子もありませんので。

20150716_PAL_sio

うまくいっても失敗しても報告するつもりですので乞うご期待を。

※2015/07/17追記
塩分計購入しました。

減塩の強い味方「塩分計」を購入しました

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