高所恐怖症が吊橋を渡ると血圧はどう変化するかを調べたら、微妙な結果になった件

高いところは好きですか?
私は大の苦手です。
高所恐怖症と言ってもいいレベルです。

そんな私が吊橋を渡ると血圧はどう変化するかを調べてみました。

なぜ高所恐怖症に?

もともと高いところは好きでは無かったのですが、台風直撃の明石海峡大橋をバイクで渡ったことをキッカケに一気に悪化しました。橋の継ぎ目ごとに完全にグリップを失い、右に左に1車線以上吹き飛ばされながら走ったのです。猛烈な風と雨で止まったら二度と走りだすことは出来ないでしょう。そして転んだらあの世行きという状況に必死に耐えていたのです。「死にたくない、死にたくない」と本気で願いながらバイクにしがみついて耐えていたのです。

20151108_suspension_bridge_02

幸運にもなんとか転ばずに通過できましたが、その体験は心に大きなキズを残しました。高い所、特に高い橋へ行くたびに脳裏にそのシーンが蘇り私を苦しめるのです。

どうなるかというと、腰が引けて足に力が入らなくなりうまく歩けなくなるのです。脈拍が上がりおそらく血圧も上昇しているでしょう。いい年のオッサンが情けない限りですが、そうなってしまったのだからしょうがない。

そんな私が吊橋を渡ってみようと思ったのは、避けられない状況で恐怖に支配されるより、いつでも後戻りができる状況でどの程度血圧が上がっているのかを確認してみたかったのです。もし危険なレベルまで血圧が上がったのならすぐに逃げればよいのです。
心の準備ができていない不安は自律神経を乱し、さらに血圧を押し上げます。しかし事前に同じようなことを経験しておけば必要以上の不安を感じることはなくなるでしょう。例えば「怖くても一時的に170mmHgだから大丈夫、大丈夫」というような具合です。その準備をしておけば血圧の安定に繋がると考えたのです。

上野スカイブリッジ

さて、今回の実験(?)の会場はここ群馬県上野村の「スカイブリッジ」、高さ90mの歩行者用吊橋です。

20151108_suspension_bridge_03

なんだかスゴイ所に橋がかかっています。

血圧データ

20151108_suspension_bridge_04

では早速血圧データを見てみましょう。

測定タイミング 血圧(mmHg) 脈拍(rpm)
朝の血圧 113/71 60
渡る直前① 142/88 58
渡る直前② 137/82 57
渡る直前③ 137/91 61
往路(橋の中央)① 141/93 58
往路(橋の中央)② 134/86 56
往路(橋の中央)③ 130/80 61
対岸で休憩① 133/85 61
対岸で休憩② 132/89 63
対岸で休憩③ 129/89 67
復路(橋の中央)① 129/82 76
復路(橋の中央)② 128/87 69
復路(橋の中央)③ 139/89 68
夜の血圧 120/74 55

ご覧のとおり、なんだか拍子抜けの血圧データになってしまいました。全然血圧が上がらなかったのです。200mmHg以上に上がるかもしれないと予想をしていたのですが、この程度であれば日常生活の活動期でもよくある数値です。現地は肌寒く18℃程度でしたので、それを踏まえると全く血圧が上がらなかったといってもよいでしょう。これは一体どうしてしまったのでしょうか?

実はもう一つ大きな異変を感じていました。なんと吊橋を渡っても全く怖くなくなっていたのです。

高所恐怖症が消えた?

あんなに怖かった高い場所が怖くないのです。これはどうしたことでしょうか?
帰り道にいろいろ考えてみたところ、1つの仮説が思い付きました。

高所恐怖症とは危険な場所で感じる危機感が過剰に湧き上がることで発生します。死への恐怖が体の自由を奪いさらに怖い目に遭うという負のスパイラルです。
脳出血で恐怖を感じる脳の部位がイカれたのかとも思いましたが、そうではなく脳出血発症後に毎日のように関していたリアルな死への恐怖が覚悟を促したように考えています。つまり「怖い怖い、死にたくない」ではなく、「もうダメなときはダメなんだから今を頑張ろう」とポジティブに恐怖を乗り越えたことが高所恐怖症にも影響しているように思うのです。

脳出血ももう一回やってしまえば「次は無い」ことを自覚しています。そして万が一、ダメだったときの用意もしています。自分が死んだ後のことの話も何のためらいもなくできるようになりました。それが普通になってしまったため、昔ほど過度に死を怖がる必要がなくなったのでしょう。
対してみんなが笑顔で渡っている安全な吊橋です。怖いわけがないのです。

なんだかすっかり目的が変わってしまいましたが、今回の一件で自分でも気づかなかった心の変化を確認することができました。私ももう数年で50歳。何事もなくても人生の半分を過ぎている年齢です。健常者であっても自分の死をリアルのものとして考えることは、老いるなかでいつかはしなくてはいけないことです。私の場合は脳出血発症がそのキッカケになったようです。

20151108_suspension_bridge_05

ということで、「高所恐怖症の人は吊橋で血圧がどれだけ上がるか確認しよう」という実験は見事なまでに大失敗でした。いつかまたトラウマを植えつけてくれた明石海峡大橋で試してみたいと思います。

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コメント

  1. たかし より:

    はじめまして!
    脳梗塞を発症して半年になるもんです。
    左の後頭部あたりに、脳梗塞が出来た影響で、失語症、失読症etc
    を患っています。

    読んでいて、凄い為になります!

    これからも、宜しくお願いします。

    • ameo より:

      たかしさん、はじめまして。
      管理人のameoと申します。
      コメントありがとうございます!

      発症半年ですと回復期から維持期に移るタイミングですね。
      しかし維持期といっても病院と患者の区切りとして設定されているだけで、患者が諦めなければそれ以降も回復が期待できます。

      思考の機能回復も出来ないことを繰り返すことがとても重要です。
      文章や言葉を積極的に使っていきましょう。
      これは半身麻痺のリハビリと同じですね。
      私も失語症対策として文章を書きまくりました。

      既にこれだけの自然な文章が書けるのであれば、完治も近いのかもしれませんね。
      もう一踏ん張り頑張っていきましょう!

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