高血圧対策の食事療法として減塩をしていると、醤油の扱いが慎重になりますよね。
醤油は大量の塩分を含んでいるため、塩分40%の減塩醤油と言えどもうっかり使い過ぎると結構な量の塩分を摂取してしまいます。
そんなこともあり高血圧であれば、卓上調味料の醤油はポトンポトンと一滴づつ垂らして使うことが推奨されています。
では、そのときに摂取する塩分はいかほどなのでしょうか?
今回は醤油一滴の塩分量を測定します。
測定しよう
今回も減塩醤油「キッコーマン 味わいリッチ減塩しょうゆ(40%減塩)」を使います。
計りの上に小皿を乗せて、醤油を一滴づつ垂らしていきます。
では、いってみましょう!
100滴落とすと4.4gとなりました。
つまり醤油一滴は0.044gということになります。
減塩醤油の比重は1.13ですので、
0.044/1.13=0.0389
醤油の一滴は0.039ccだったということが分かりました。
この減塩醤油は大さじ1杯(15cc)のナトリウムが565mg(=0.565g)です。
0.039×(0.565/15)=0.00146899
一滴に含まれるナトリウムは0.001469gです。
そしてナトリウム×2.54=塩分相当量ですので、
0.001469×2.54=0.003731
となります。
すなわち、この減塩醤油一滴に含まれる塩分相当量は0.00373gということが分かりました。
まとめ
「塩分相当量は0.00373gだ!」と言われても反応に困ってしまいますよね。
もう少し分かりやすくまとめておきましょう。
まずは醤油の滴数と塩分相当量の関係です。
滴数 | 減塩醤油 | 濃口醤油 |
---|---|---|
1滴 | 0.0037g | 0.0064g |
3滴 | 0.0112g | 0.193g |
5滴 | 0.0187g | 0.0322g |
10滴 | 0.0373g | 0.0644g |
20滴 | 0.0746g | 0.129g |
50滴 | 0.187g | 0.322g |
100滴 | 0.373g | 0.644g |
※濃口醤油は「キッコーマン 特選丸大豆しょうゆ」のデータ(大さじ1杯(15cc):ナトリウム 975.0mg)を使っています。また、濃口醤油の一滴も同じ体積と仮定して試算をしています。
100滴落としても塩分相当量は1gもいきません。
あら、意外と少ないんですね。
では、塩分相当量1gは何滴でしょうか?
塩分相当量 | 減塩醤油 | 濃口醤油 |
---|---|---|
0.1g | 27滴 | 16滴 |
0.3g | 80滴 | 47滴 |
0.5g | 134滴 | 78滴 |
1.0g | 268滴 | 155滴 |
2.0g | 536滴 | 311滴 |
塩分相当量1gは減塩醤油で268滴、濃口醤油で155滴となりました。
さすがに卓上調味料としての醤油をここまで垂らしつづけることはないでしょう。
雫で垂らすような使い方であれば、醤油を神経質に避ける必要はなさそうですね。
「付け醤油」と「垂らし醤油」の関係もまとめよう
小皿に入れた醤油と雫で垂らす醤油の塩分摂取量も比較してみましょう。
前回、刺身の醤油について調べました。
この調査で、刺身12切れを小皿の減塩醤油に片面だけさっと付けて食べると3.63cc摂取することが分かりました。
3.63/12=0.3025
刺身1切れで0.3025ccの醤油が付いていることになります。
対して減塩醤油一滴は0.039ccです。
0.3025/0.039=7.756
刺身の片面に醤油を付けることは、醤油を8滴垂らすこととほぼ同じということです。
つまり、刺身一切れに対して醤油4滴で我慢できれば50%減塩だが、8滴以上なら減塩になっていないということです。
「片面サッと付ける」と「8滴」。
あらためて言われてみると「まあそんなもんだろうなぁ」と思える妥当な結果ではないでしょうか。
なんとなく「垂らし醤油による減塩の目安」、おわかり頂けたでしょうか?
皆様もこの結果を参考に自分に最適な滴数を探りましょう。
コメント
はじめまして。
病気は違いますが、同じく1日の塩分6gといわれたNAKAです(自分は動かすポンプ側でした)。
1滴ずつ使えるなら、しょうゆも使えることが分かりました。
冷ややっこに塩分の少ないドレッシングで食べていたりしていましたが、少量のしょうゆも使ってみようと思います。
他の記事も面白く読ませてもらいました。
書かれていないもので、自分で使っているものは、テーブルマークの冷凍そば、冷凍食品の イートアンドの大阪王将 中華丼の素(置いていない店の方が多いです、他社の中華丼の素は塩分が多いです)、生協で売っている冷凍総菜です。
自分も少しですが書いてます。「減塩はじめました」で探せば見つかると思いますので、よろしければ見てみてください。
また来させてもらいます。
NAKAさん、はじめまして。
管理人のameoと申します。
そうなんです。
醤油は1滴1滴たらして使う程度なら塩分をさほど心配しないでもよかったんです。
これは私も意外でした。
ブログ拝見しました。
私のしらない低塩分食がたくさん紹介されており驚いています。
特におすすめいただいた王将の中華丼、とても惹かれます。
「中華は塩分多そう」という先入観から成分表を見ることもしていませんでした。
早速探してみますね。
マックスバリューのお弁当も気になります。
(こちらは南関東なので製造業者は違うと思いますが)
しばらくNAKAさんのブログを見てスーパーで探す日々が続きそうです。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします!
私は、塩の会社に勤めて、塩を開発、販売しています。
醤油の塩分量の件、とても興味深く拝見しました。
食材に直接かける塩を造り、販売しています。
「平釜と天日仕立ての塩」と言います。素材が生きるように塩が少ししか出ない状態で売り出しました。お土産用中心ですが、評判は上々です。
人は、ナトリウム分が、脳の美味しさスイッチを押すそうです。ほんのわずかな塩分量でもふり塩なら、食材に美味しさを感じられるようです。
(商品の振出量を計測したら、食塩量が0.01-0.02gでした。)
参考;先日、減塩について面白い記事がありました。美味しくないから減塩は難しい。薄味にして、食べる時に塩を振れば、表面のみの塩だから、減塩になるのではないか。と
(ニューヨークタイムズの記事です)
http://toyokeizai.net/articles/-/203931
藤田様、はじめまして。
管理人のameoと申します。
コメントありがとうございます。
本当にそのとおりですよね。
減塩を指導されると勢い余って塩分ゼロにこだわってしまいますが、
塩は極僅かでも料理をグッと美味しくしてくれます。
私もいろいろ試して考えた結果、食べる時に少し表面につけるが正解だと思うようになりました。
ただ問題は汁物なんですよね。
塩の大部分が舌に触れずに摂取されてしまいます。
もったいない話です。
「舌にだけ塩を供給する」という同じ考え方で、とあるベンチャーが「ソルトチップ」のいう減塩法を開発中です。
塩味の小さな塊を歯の裏に貼り付けるのだそうです。
この方法なら無塩の汁物でも美味しくいただけるのかもしれません。
これが商品化され話題になると塩味の小さな飴やシートが流行るかもしれませんよ。
私も良いアイデアが浮かんだら試してみますね。