ラーメンの栄養をPFCバランスでチェックしよう

国民食の1つとして挙げられる「ラーメン」

庶民的外食の代表格ですね。
ここ20年のラーメンブームでさらなる進化を遂げ、ちょっとしたご馳走料理という側面も併せ持っています。

そんな身近な料理「ラーメン」ではありますが、体に悪いというマイナスのイメージもつきまといます。

確かにラーメンには1杯で1日分の塩分が含まれています。
私のような高血圧患者が注意すべき料理であることは言うまでもありません。

しかし、本当に注意すべきなのは塩分だけなのでしょうか?

今回もPFCバランスを使い、ラーメンの三大栄養素を調べてみましょう。

ラーメンの麺

大手ラーメンチェーンから公開されている成分値は麺・スープ・具材込みの数値です。そこでまずは麺だけの成分を見ておきましょう。

麺にもいろいろ種類がありますが、今回は日本食品標準成分表に掲載されている一般的な中華麺のデータを用います。茹でる前の生麺1玉を130g、ゆで麺は285gとして計算しています。

中華麺(1玉130g)

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
中華麺 368kcal 12.1g 1.5g 72.1g 0.5g

中華麺のPFCバランスはこうなりました。

主原料が小麦粉ですのでやはり炭水化物が多いですね。タンパク質が適量で、脂質がほぼ含まれていません。エネルギーも368kcalと特に多いわけでもありません。ご飯やパン、パスタなどの主食と同等です。

さて、これが1杯のラーメンになるとどうなるのでしょうか。

鶏ガラ醤油ラーメン

昔ながらの透き通ったスープの醤油ラーメンです。ラーメンチェーン大手「幸楽苑」の「あっさり中華そば」を見てみましょう。特にあっさりとは思えないのですが、近年は醤油ラーメンもコッテリ濃厚なものが主流となっているため、あえてあっさりと表現しているのでしょう。

「幸楽苑」の「あっさり中華そば」

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
あっさり中華そば 643kcal 22.0g 17.5g 89.5g 8.2g

コレにはビックリ。エネルギーは昼食としては標準的、そして三大栄養素のバランスはほぼ完璧です。栄養バランスが良いといえる料理でした。

ただ問題なのが食塩相当量8.2g。このラーメン1杯だけで1日分の塩分を摂取してしまいます。食事療法で1食2gの塩分制限をしているならスープは我慢しましょう。

ラーメンライス

昭和中期の漫画でおなじみのラーメンライス。腹をすかせた貧乏な若者の贅沢でもありました。

最近では家系や徳島ラーメンのように濃厚なラーメンをご飯のオカズとして捉える流れもありますが、ここでは基本の鶏ガラ醤油ラーメンにライスを追加した場合でみてみましょう。

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
あっさり中華そば 643kcal 22.0g 17.5g 89.5g 8.2g
ご飯180g 304kcal 5.4g 0g 66.9g 0g
合計 947kcal 27.4g 17.5g 156.4g 8.2g

まあ当然なのですが、炭水化物が多く、タンパク質と脂質が少なめとなります。
そしてエネルギーが947kcalと大幅に増えました。PFCバランスが大きく崩れてるとは言えませんが、ここまで摂取エネルギーが増えると体を動かす仕事か体育会系でないと消費できないのではないでしょうか。四畳半でゴロゴロしながらラーメンライスばかり食べていると丸々と太りそうですね。

さて、続けて醤油味以外のラーメンも見ていこうかと思ったのですが・・・。
ここで困ったことが起きてしまいます。

ベースのスープで脂質の量が大きく変化する

ラーメンには色々な味付けがあります。醤油、味噌、塩、とんこつが代表格ですね。これらの味ごとに成分構成の傾向があるのかと思ったのですが、これがてんでバラバラ。脂質の振れ幅がとても大きいのです。

これはどうしたことかと探ってみると、その原因は味付けではなくベースのスープにあるということがわかりました。

ズバリ「スープ表面に浮いてる油」「骨を使った白濁したスープかどうか」がポイントです。

スープ表面の油は分かりやすいですよね。最近は背脂や香油をふんだんに使ったラーメンが増えています。また表面を油が覆っているために湯気が一切立たないというものまでも。こういった脂の程度が目で見えるラーメンは脂質の量も把握しやすいです。

厄介なのが白濁したスープ。とんこつスープがすぐに思いつくとは思いますが、鶏ガラでも牛骨でも白濁したスープは作れます。この白濁したスープをベースにするとラーメンは極端な脂質過多になるのです。

実はこの白色、脂が乳化してスープに溶け込んでいるから白く見えているのです。骨や皮、筋から出てくるコラーゲンが乳化剤となり、脂と水を分離しないように結びつけています。つまり脂はスープ表面に浮いているものだけではなく、スープの中にも大量に溶け込んでいるのです。これが最近の主流となっている「濃厚」「こってり」「コク深い」「味に厚みがある」と言われる白濁したスープだったのです。

この乳化という状態になると私達は脂の存在を感じにくくなります。たとえば乳化という言葉のもととなっている牛乳。牛乳は極めて脂質の多い飲み物です。しかし牛乳を飲んで油っぽさを感じることはありませんし、口の周りが脂でベタベタになることもありません。風呂上がりの冷たい牛乳はスッキリ爽快ですらあるのです。

このことがラーメンにも言えます。とんこつなどの白濁したスープは私達が想像する以上に脂質が溶け込んでいますが、濃厚感は感じても油っぽさは感じません。

近年人気があるラーメンは、醤油と言っても実はとんこつ醤油だったり、味噌と言ってもとんこつ+鶏ガラの味噌味だったりするわけです。それはスープが白濁しているかで分かります。

分かりやすい例が「天下一品」です。

「天下一品」こってり vs あっさり

天下一品と言えばどろりとした濃厚なスープが特徴の「こってり」が定番です。このこってりはとんこつのような濃厚な白濁スープですが、実は鶏ガラの炊き出しです。鶏ガラに鶏皮やもみじ(足)、野菜を加えて強火で煮込むことで作られているようです。

そして天下一品はスープの澄んだラーメン「あっさり」も提供しています。
この対極的な2つのラーメンを比較すると面白いものが見えてきます。

天下一品 こってり

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
こってり 949kcal 37.5g 66.2g 53.6g 6.4g

これは凄い! 脂質が振り切れてしまいました。超高脂質です。脂質が極端に多いため、エネルギーも949kcalと高い数値を示しています。

なお、脂質に40を掛けると栄養素が適正バランスだったときの総カロリーが分かります。

66.2g×40=2648kcal

つまりスープを完飲すると成人男性1日分の脂質を摂取してしまうわけです。

この「こってり」やとんこつベースのラーメンは病みつきになる美味しさがあります。しかし脂質の量を見てしまうと恐ろしいものがありますよね。

天下一品 あっさり

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
あっさり 380kcal 20.1g 9.5g 54.8g 7.5g

「あっさり」は別の意味で驚いてしまいます。こちらはラーメンとしては脂質が少なく、素晴らしい栄養バランスです。

脂質は「こってり」が66.2gですが「あっさり」は9.5gと大幅に減っているため、エネルギーも380kcalと半分以下になっています。

お分かりいただけたでしょうか。
脂を乳化して作られる白濁したスープは「脂のスープ」でもあるのです。

とんこつや鶏ガラ炊き出しの白濁したスープは脂質過多なので気をつけましょう!!

・・・と言い切れれば分かりやすかったのですが。。

濃厚を売りにしているラーメンならそれで正解です。
しかし多種多様を極める現在のラーメン界はそう簡単に分類できるものではありません。例えば、とんこつでもスープの濃度が薄かったり、とんこつ+魚介のWスープで「こってり、でもあっさり」というバランス型のラーメンも多いのです。

では、スープが白濁していても脂質が少ないという例を見てみましょう。

スガキヤ ラーメン

とんこつに昆布や魚からとった出汁を合わせた「和風とんこつ」と称していますが、実際はとんこつ風味の魚介スープと言ったほうが正しいかもしれません。見た目以上にあっさりとしたラーメンです。

商品名 エネルギー タンパク質 脂質 炭水化物 食塩相当量
スガキヤ ラーメン 389.6kcal 16.1g 6.2g 67.6g 7.3g

なんと脂質少なめという結果になってしまいました。

基本的にとんこつなどの白濁したスープは「脂のスープ」ではありますが、その使い方により脂質の量はいくらでも変化してしまうのです。

また今回もごちゃごちゃとした話になってしまいましたので、わかったことをまとめておきましょう。

まとめ

・ラーメンは脂質が大きくばらつく
・透き通ったスープの鶏ガラ醤油ラーメンであれば三大栄養素のバランスはよい
・とんこつなどの白濁したスープは脂を乳化させた「脂のスープ」
・乳化させると油っぽさを感じにくくなる
・「濃厚」「こってり」を売りにしているドロリとした白濁スープは脂質が極めて多い
・しかしスープが白濁していても濃度やブレンドの違いで脂質が少ないものもある

「ラーメンは塩分だけでなく脂質にも注意が必要」ということです。

塩分と脂質の過剰摂取は動脈硬化の原因になりますので、「ラーメン」という大きなくくりでは健康的とは言い難い料理ですね。

ラーメンの成分表は基本公開されていない

お店の厨房で調理をし提供する料理は食品表示法の成分表記義務の対象外です。このため極一部の大手ラーメンチェーンが自主的に公開している以外、ほぼすべてのラーメンは成分が不明です。このため「ラーメンは成分表をチェックしてから注文しましょう」と言うこともできないのです。

今回の成分調査でも4社しか見つかりませんでした。

●幸楽苑
https://www.kourakuen.co.jp/products/allergy.html

●天下一品
http://www.tenkaippin.co.jp/composition.html

●スガキヤ
http://www.sugakico.co.jp/archives/001/pdf/menuPdf_energy.pdf

●8番らーめん
http://www.hachiban.jp/user_data/menu/allergy_toyama.pdf

ラーメンは見た目だけでは成分量の判断が難しいため、スープが透き通り浮かんている油が少ないラーメン以外は脂質が多いと思っておいたほうが無難です。

豚骨ベースのこってり濃厚な味噌ラーメンが大好物、さらにスープ完飲派だった私としては、この結果に悲しい限りではあるのですが、ダメな理由が明確になると納得せざるを得ません。
塩分も脂質も気になる私達中高年には、スープが命の「ラーメン」より、麺に重きをおきスープが残せる「つけ麺」の方が適しているのかもしれませんね。

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コメント

  1. きゃしゃ より:

    ameoさん、皆さん、はじめまして。きゃしゃと申します。いつも興味深く拝読しております。情報源として、心の支えとして。
    さて、今回の記事、なんとも目の毒です(苦笑)。ラーメンが食べたくてしょうがなくなったアナタ(誰)に小ネタを。
    先日外食チェーンで出会ったラーメン、なんと1食1.2g食塩相当。1.2gですよ!
    http://www.roza.monteroza.co.jp/sp/menu/viewMenu.php?GCD=802&KBN=1&MCD=83531
    居酒屋チェーンの魚民です。ラーメンだけ食べにってのはなかなか難しいですけどね。

    • ameo より:

      きゃしゃさん、こんにちは。
      管理人のameoと申します。
      コメントありがとうございます!

      魚民ラーメンの情報感謝です。
      これは知りませんでしたよ。
      締めのラーメンだけのために居酒屋ってのは確かに厳しいですかね
      お通しも取られたりして。

      でも小ドンブリのラーメンという減塩のアプローチはアリです。
      美味しさそのままで減塩が可能ですから。

      回転寿司でも小ドンブリのラーメンが充実していますよね。
      最近はファミレス化しているのでラーメンだけの利用はギリギリ可能かなとは思いますが、残念ながらどこもかしこも食塩相当量が不明なんです。
      外食としては珍しい脂質の少ない料理「寿司」がメインなのですから、健康面のアピールも頑張ってくれるとありがたいんですけどね。

  2. lupin023 より:

    減塩の食生活に切り替えてから、一切カレーとラーメンを食べていません。笑。
    減塩のラーメンってあるんですね。

    先日、降圧剤の効果か、血圧測定の姿勢が良くなったからか分かりませんが
    血圧がかなり安定しだしたので、退院後半年目の血秋検査とMRI検査を
    しましょうと言われました。
    それでもし結果が良ければ、薬を減らす事が出来るかも知れません。
    ameoさんに言われたように、ムリしない程度に減量と減塩に頑張りたいと思います。

    • ameo より:

      私のときもそうでしたが、血圧が下がり安定したつもりでも降圧剤を減らすと途端に上下に暴れだします。
      やはり降圧剤の効果は絶大です。
      それをまた押さえ込んで安定させ、更に減薬をするという繰り返しになるでしょう。
      いま安定したからと言って油断してはいけません。

      急に血圧を下げたことで低血圧症も出てくると思います。
      私も1年近く虚脱感や立ちくらみに悩まされました。
      しかしそれも時間とともに解消しますので安心してください。

      血圧改善は始めの一年が踏ん張りどころですよ。
      しっかり結果を出せば魅惑の料理も(たまになら)食べることが出来るようになるでしょう。
      頑張ってくださいね!

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