血圧は風呂でどのように変化するのでしょうか?
お湯の温度で違いはあるのでしょうか?
以前から気になっていた風呂での血圧変化。
実際に測定してみました。
測定条件
今回はお湯の温度を変化させ、それ以外は出来る限り同じ条件になるようにしています。
熱風呂:43℃
ぬる風呂:38℃
水風呂:20.6℃
1分おきに血圧を測定するため、体を洗う工程は省いています。
湯船に入る → 15分後に出る → 体を拭いて服を着る
という行動パターンで統一しています。
血圧計は心臓と同じ高さにしないと正しく測定できないため、お湯は胸の位置までです。
なお測定した日は梅雨の合間の快晴であり、室温は27℃前後と過ごしやすい気候でした。
では早速見ていきましょう。
1)熱風呂(43℃)
風呂に入ると血圧が落ちることは知られていますが、熱い風呂の場合は湯船に入った瞬間に一瞬血圧が上昇するという話をよく聞きます。
熱風呂ではこの現象を確認することも目的の1つです。
・データ
この後でグラフにまとめていますので、データは読み飛ばしてください。
経過時間 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | 脈拍数(bpm) | 備考 |
---|---|---|---|---|
-3 | 124 | 81 | 61 | |
-2 | 125 | 79 | 61 | |
-1 | 128 | 81 | 64 | |
0 | 127 | 73 | 64 | 入浴開始 |
1 | 123 | 83 | 61 | |
2 | 122 | 78 | 70 | |
3 | 116 | 66 | 70 | 発汗が始まる |
4 | 116 | 62 | 78 | |
5 | 108 | 70 | 84 | |
6 | 101 | 63 | 82 | |
7 | 118 | 72 | 88 | |
8 | 113 | 63 | 84 | 顔から汗が滴る |
9 | 113 | 62 | 82 | |
10 | 112 | 62 | 85 | |
11 | 109 | 64 | 88 | |
12 | 112 | 61 | 88 | |
13 | 112 | 61 | 90 | |
14 | 118 | 62 | 91 | |
15 | 110 | 63 | 95 | |
16 | 96 | 64 | 132 | 湯船からでる |
17 | 101 | 65 | 120 | 体を拭く |
18 | 106 | 64 | 117 | |
19 | 116 | 63 | 112 | 着替え開始 |
20 | 101 | 60 | 109 | |
21 | 94 | 61 | 111 | |
22 | 104 | 70 | 101 | |
23 | 108 | 64 | 97 | |
24 | 112 | 66 | 91 | |
25 | 108 | 63 | 83 | |
26 | 116 | 72 | 87 |
・グラフ
グラフにまとめてみました。
「くあぁぁぁ!!!」という唸り声が出るほどお湯が熱かったのですが、血圧が跳ね上がることはありませんでした。血管が広がったのでしょう、みるみる血圧が下がっていきます。そして115/62mmHg付近の低い値で安定。しかし脈は上昇し続けています。5分ほどで体が温まり頭と顔からタラタラと汗が落ちています。
問題はその後です。湯船からでた瞬間、上の血圧がストンと96mmHgに落ち、脈拍が跳ね上がります。心臓がバクバクと激しく脈打っているのが自分でも分かります。これは起立性低血圧ですね。体が温まり全身の血管が広がった状態で急に立ったので、脳に回る血が足りなくなったのでしょう。脈拍を増やして脳に血液を供給しようとしているのです。さらに着替え中にももう一度血圧が94mmHgまで落ちました。あぶないあぶない。
立ちくらみまでは起きませんでしたが、飲酒や降圧剤で入浴前から血圧を下げていたら低血圧症で倒れることもありえますね。なるほど、これは危険です。よく「湯船からでるときは何かに掴まりながらゆっくり出ましょう」と言われていますがこれで納得です。
課題にしていた「湯船に入った直後に瞬間的に血圧が上昇する現象」は私の体では発生しませんでした。ただ、この話は万人に共通ではなく「高血圧の方はそのような症状が出やすい」という意見もあります。緊張や興奮で血圧が跳ね上がりやすい過敏型の高血圧の方であれば、熱いお湯の刺激で血圧が上昇しても不思議ではありません。念のため気をつけておきましょう。
続いてぬるい風呂を見てみましょう。
2)ぬる風呂(38℃)
38℃のぬるい風呂です。
高血圧の方にはぬるい風呂が推奨されていますが、こちらの場合はどうでしょうか。
・データ
経過時間 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | 脈拍数(bpm) | 備考 |
---|---|---|---|---|
-3 | 135 | 84 | 64 | |
-2 | 124 | 80 | 60 | |
-1 | 127 | 91 | 66 | |
0 | 123 | 72 | 66 | 入浴開始 |
1 | 120 | 69 | 57 | |
2 | 117 | 70 | 56 | |
3 | 118 | 67 | 56 | |
4 | 112 | 67 | 58 | |
5 | 114 | 66 | 58 | |
6 | 114 | 70 | 56 | |
7 | 120 | 75 | 59 | |
8 | 119 | 74 | 56 | |
9 | 115 | 74 | 59 | |
10 | 116 | 77 | 57 | |
11 | 120 | 76 | 58 | |
12 | 114 | 71 | 59 | |
13 | 121 | 66 | 63 | |
14 | 117 | 72 | 62 | |
15 | 117 | 73 | 61 | |
16 | 132 | 78 | 61 | 湯船からでる |
17 | 126 | 89 | 71 | 体を拭く/肌寒い |
18 | 130 | 94 | 66 | |
19 | 134 | 87 | 65 | 着替え開始 |
20 | 131 | 89 | 61 | |
21 | 131 | 84 | 63 | |
22 | 139 | 86 | 61 | |
23 | 129 | 86 | 58 | |
24 | 135 | 77 | 59 | |
25 | 123 | 83 | 58 | |
26 | 124 | 86 | 62 |
・グラフ
湯船に入る際も刺激がなく、体温から少しだけ高い温度のお湯に体も心も落ち着きます、
血圧も脈拍も少し落ちて安定しています。あまり汗はでていません。
同じように15分後に湯船をでます。ここで意外な動きが。
熱い風呂では湯船から出た瞬間に血圧がストンと落ちましたが、ぬるい風呂では上昇したのです。湯船から出たときに感じたのは「ちょっと肌寒いな」でした。気温は28.1℃と低くはないのですが、お湯の温度からすると相対的に寒さを感じてしまうのです。全身に軽く鳥肌が立っています。肌寒ければ血管が収縮して血圧は上昇します。ぬるい風呂で15分という短い入浴時間では体が温まっていなかったということです。
「風呂に入ると血圧が下がる」と言われてはいますが、これは体が十分に温まっていることが必須条件だったようです。
3)水風呂
最後に水風呂です。
普段から水風呂に入る方はいないとは思いますが、海やプールでこれに近い現象が起きていると思われます。
・データ
経過時間 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | 脈拍数(bpm) | 備考 |
---|---|---|---|---|
-3 | 131 | 90 | 66 | |
-2 | 134 | 86 | 69 | |
-1 | 135 | 89 | 67 | |
0 | 174 | 111 | 76 | 入浴開始 |
1 | 163 | 104 | 67 | とにかく冷たい |
2 | 155 | 92 | 60 | |
3 | 144 | 92 | 54 | |
4 | 147 | 87 | 57 | |
5 | 142 | 93 | 58 | |
6 | 134 | 87 | 55 | |
7 | 134 | 86 | 56 | |
8 | 139 | 82 | 54 | |
9 | 132 | 83 | 57 | |
10 | 140 | 83 | 56 | |
11 | 141 | 85 | 59 | |
12 | 140 | 82 | 56 | |
13 | 146 | 88 | 59 | |
14 | 138 | 87 | 56 | |
15 | 137 | 84 | 55 | |
16 | 143 | 86 | 56 | 湯船からでる |
17 | 139 | 84 | 56 | 体を拭く |
18 | 141 | 90 | 58 | |
19 | 140 | 82 | 56 | 着替え開始 |
20 | 132 | 91 | 60 | |
21 | 146 | 87 | 58 | |
22 | 144 | 86 | 57 | |
23 | 148 | 85 | 53 | |
24 | 138 | 85 | 57 | |
25 | 132 | 88 | 58 | |
26 | 134 | 82 | 58 |
・グラフ
湯船に入ると血圧が一気に174/111mmHgという危険領域まで跳ね上がりました。
これはアブナーイ!
水風呂ですので緊張したのでしょう、入浴前から血圧は高めですが、それを含めても174mmHgは脳卒中経験者としては恐ろしい値です。
その後、血圧や脈拍は徐々に落ちて、140/85mmHg辺りで安定しています。普段の血圧より高い値ですが、冷たいので血管が収縮して血圧が上昇するという冬と同じ体の反応でしょう。風呂から上がってもこの高めの血圧を維持したままでした。
海水浴やプールは水に入る瞬間が最も危険ということですね。高血圧を自覚しているならいきなり水に飛び込むような行為は絶対に止めておきましょう。準備体操で体を十二分に温め、冷たい水に少しづつ体を慣らしながら時間をかけて入りましょう。
水泳中の半身麻痺や意識喪失は状況を一層悪くします。
くれぐれもご用心を。
まとめ
それでは3つのグラフを重ねてみましょう。
風呂の温度を変えるだけでこれだけの違いがでます。
要点をまとめると、
・熱い風呂に入った瞬間に血圧が跳ね上がる症状はでなかった
・十分に体が温まっていると、湯船から立ち上がった瞬間に血圧が急激に下がる
・体が十分に温まっていなければ、風呂の後の血圧は下がらない
・冷水は入った瞬間に血圧が大きく跳ね上がる
風呂で血圧を下げたいのであれば「43℃の熱い風呂」が良いように見えてしまいます。しかし風呂の後の血圧が低い原因は「体が芯まで十分に温まっているか」が必須条件です。ぬるい風呂でも湯船に浸かる時間を増やせば血圧は良好になると考えます。
一般的に高血圧対策として勧められている「ぬるいお湯に半身浴」でも短時間で湯船から出てしまうと「風呂の後に血圧が上昇する」という逆効果にもなり得るといえます。
風呂は温度や時間ではなく、「体が温まっているか」が重要ということです。
私はぬるめの風呂に長時間入っているため、夜の血圧を低くコントロールできていたのかもしれません。ただ、湯船から立ち上がる瞬間が低血圧で危険という認識はありませんでした。飲酒や運動で血圧が低下しているときは更に危険ということでもあります。今後は最新の注意を払って湯船から出たいと思います。苦労して高血圧を改善したのに、今度は低血圧で倒れて外傷性脳出血ではやりきれません。降圧剤を服用している方も血圧が上がりにくくなっていますので、低血圧側も注意をしてくださいね。
コメント
ご無沙汰しています。
お元気ですか?
きっと、お元気だとは思いますか笑。
私の現状を。
かなり、減薬がすすんでカンデサルタン2mgまできて、もう薬いらないかな?
って先生と話すところまで来てたのですが
9月に入り、
血圧が少し高くなってきて( ; ; )
4mgにして様子を見ています。
今月末には
発病以来初めての人間ドックにも行くので
総点検ですね。
なかなか、
ameoさんの域までいけないのが
もどかしくて、残念なんですけど
様子を見ながら、血圧をコントロールできたらいいなと思ってます。
ameoさんの
現状も、また教えてくださいね!
フジッコさん、こんにちは。
どうも、お久しぶりでございます。
ご心配をお掛けしてしまい申し訳ありません!
体は至って健康です。
しかし生活の方に少々問題がでています。
主に仕事に関してなのですが、「このままではマズイ」そんな不安が春辺りから現実味を帯びてきました。
もうすぐ50歳、普通であれば生活も安定している年齢です。
しかし私はもうひと踏ん張りしないといけないようです。
今は出来ることを増やすべく受験生のように朝から晩まで勉強に没頭しています。
申し訳ありませんがこのサイトはしばらくこの状態が続くと思われます。
必ず再開しますので少々時間をください。
フジッコさんも頑張っていますね。
安心しました。
今回降圧剤を止められなかったのは残念ですが、体質改善は半年、1年単位で時間がかかるものです。
短期的に良くなったり悪くなったり、しかし長い目で見ると改善している。
血圧に限らず体の変化はそういう傾向がありますよね。
ですので諦めずに続けていきましょう。
きっと良くなりますよ。
では、また!