ちょっと気になるニュースがありました。
高血圧になるとほぼ間違いなく降圧剤が処方されます。
そして降圧効果を持続させるためには毎日欠かさず定時に服用することが必要となります。
とても煩わしいですよね。
では、一度の注射で数年効果が続く降圧剤があったらどうでしょうか?
現在そんな薬が開発されています。
高血圧ワクチンとは
正確には高血圧DNAワクチンと呼ばれています。このワクチンはベンチャー企業のアンジェスMGと大阪大学が共同開発している新しいタイプの降圧剤です。
一度の注射で降圧効果が年単位で持続するため、実用後は毎日服用する手間から解放されることになるでしょう。
●高血圧ワクチンは1回投与で効果は数年、降圧剤不要に(NEWSポストセブン)
http://www.news-postseven.com/archives/20161214_474943.html
●年1回の予防注射でOK!? 高血圧ワクチンの凄さ (zakzak)
http://www.zakzak.co.jp/health/doctor/news/20150614/dct1506140830001-n1.htm
このワクチンがターゲットにしているのはアンジオテンシンⅡ。この物質は血管を萎縮させるとともに血液量を増やすことで血圧を上昇させています。このアンジオテンシンⅡはもともと体にある物質のため免疫システムにとっては駆除すべき敵ではありません。
そこで免疫に敵と見なされるアンジオテンシンⅡを生み出すためのDNAを抗原として体内に投与します。これにより生じたアンジオテンシンⅡは免疫活動により減らされ、血圧の上昇を防ぐという仕組みです。
既存の降圧剤と違い降圧効果の持続期間が長いことが特徴とされています。まだ人を使った臨床試験は始まっていませんが、一度の注射で数年以上の効果が期待できるとのことです。来年2017年に豪州にて臨床試験が始まります。
●開発スケジュール
2016年9月 高血圧DNAワクチンが米国で特許成立
2017年 豪州で臨床試験開始
早ければ5年以内に実用化
●アンジェスMG
https://www.anges-mg.com/project/proj_wak.html
高血圧患者として思うこと
個人的には扱いが難しい薬だなと感じています。
降圧剤は一時的に血圧を押さえ込むことで合併症の発症を防ぐ予防薬です。高血圧の治療薬ではありません。誤解している人が多いのですが、降圧剤を服用しても高血圧は治りません。
もう高血圧は治せない。もしくは治さない。一生降圧剤を服用し続けると決心した人には良い薬かもしれません。飲み忘れが多く経口薬の服用が困難な高齢者にも最適でしょう。数年効果が続くのであれば薬代も大幅に減ることでしょう。
しかし本気で高血圧を治したいと努力する人にとっては効果期間が長いことがネックになってしまいます。生活や体質を改善して血圧が下がっても即座に薬を弱めることができなくなるのです。
またこのワクチンの仕組みでは降圧効果は免疫力の変動に依存することになります。ストレスや過労で血圧が上下に暴れる方は更に制御が難しくなる気がしてなりません。
ニュースでは「高血圧治療ワクチン」「降圧剤が不要に」「薬漬けから解消される」というニュアンスで伝えられてはいますがおそらく現実は違います。長期間に渡って改善が期待できないと思われる高血圧患者に適した合併症予防のためのワクチンであり、病状の現状維持が主な目的となるのではないでしょうか。
そんなわけで、まだ諦めていない私達にはあまり関係のない話のようです。
私も高齢になり「もう無理。これ以上高血圧は抑え込めない」とギブアップしたときにお世話になる薬なのかもしれませんね。
コメント
アンギオテンシン系に作用するわけですから腎臓の
レニンが多い人には有効でしょうけど私の場合は
前回の検査で正常域だったので残念ながら適応に
ならない可能性が高く少し残念だな。レニンー
アンギオテンシン系がメインならアダラートが
あまり効かないが、一応効いちゃってようだし。。
といってもアダラート系しか処方されたことがないのが
やや疑問だけど。
のんぽいさん、こんばんは。
私もカルシウム拮抗剤がよく効いたのでこのワクチンの効果は薄いのかもしれません。
降圧剤は患者との相性もありますので、量と効果の判断が難しいワクチンになるのでしょうね。
免疫操作も程度の見極めを間違えるとアレルギーの問題が出てくるでしょうし。
実用化できても一番乗りはちょっと怖いですね。
ameoさんはじめまして。
わたしはまだ40歳手前なんですが、
うっ血性心不全になってしまい緊急入院➡先日退院してきました。
心不全の原因は高血圧とのこと。
そのため、減量、塩分制限の食事、激しくない有酸素運動で心臓リハビリと、
新しいライフスタイル作りをいましているところです。
しかし、
塩分制限は思いの外難しく、
特に外食などの時はどうすればよいだろうか。。と思ってネットで検索していたところ
こちらのブログにたどり着きました。
結果は脳出血と心不全とちがえど、
高血圧を克服していくためにやることは一緒なのでとても参考になっております!
本当に助かります。
それと励みになります。
まだ退院してきて10日くらいで、
なにか不調があるとすぐ不安になり、先日は過呼吸になったりしましたが
やはりこの違和感は何からくるものだろうとわかると安心に繋がりますね。
自分の体の声を聞くというか
原因と結果としてひとつひとつ知識も得ながら整理していくんだなぁと今は感じてます。
ameoさんのおかげで減塩料理も、研究開発の気持ちが出てきて少し楽しくなってきたというくらいまでなりました。
ameoさんのブログは偉大です。私にとっては。
今まで心臓のこと体のことをあまり見ずに突っ走ってきたので、
これを機に労りながら丁寧に人生を創っていきたいものです。
お読みいただきありがとうございます!
またコメントさせていただきますね。
ハートさん、はじめまして。
管理人のameoと申します。
コメントありがとうございます!
うっ血性心不全を調べてみたのですが、日々家庭で行う治療はよく似ています。
運動だけは心臓の状態を把握しながら慎重に行わなくてはいけないのが難しいところですね。
「研究開発」という視点はまさしく大正解です!
食事療法、リハビリや運動は、調べて試して最適な回答を見つけ、自分自身を創り上げる。
これは「よっしゃ、できたぜ!」という快感がたまらない研究開発と同じです。
ただ、体を変化させるには半年、1年という長い時間が必要です。
楽しければ続けられる。どんどん体がよくなる。それもまた楽しい。
今のうちにそんな良いループを作り上げてしまいましょう。
私もランニングをより楽しむために、ガーミンという脈拍が測定できるGPS腕時計を購入。
脈を常時監視しながら運動負荷を調整しています。
慎重に運動をするならこんなガジェットを利用するのもいいですね。
ちと値が張りますが。。。
是非またコメントくださいね。
待ってます!