高血圧の減塩食には2つのアプローチがある

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「高血圧です。今日から減塩してくださいね」
ある日突然、医師にそう言われて戸惑っている人も多いのではないでしょうか。

脳出血を発症してしまった私も当然食事療法としての減塩をせざるを得ず、当時は分からないなりにいろいろと試行錯誤をしていたことを思い出します。そんな中で減塩には大きく分けると2つの方法があり、それぞれ人により適不適があることに気付きました。

今回はその辺りをまとめていきましょう。

減塩の2つの方法とは

まず、はじめにズバリ言ってしまいましょう。
減塩には「濃さの減塩」「量の減塩」という2つの方法があります。この2つの違いをしっかり意識することで自分に適した減塩が可能になります。

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濃さの減塩とは

一般的に減塩料理と呼ばれるものはこちらを指す場合が多いでしょう。塩分を少なめにした料理ですので当然「淡い味」になります。いままで食べていた濃さの味をどれだけ再現できるかが料理のポイントです。より素材の味を感じられる料理ではありますが、悪い言い方をすれば「味がしない/薄い」、つまり「おいしくない」と言われがちです。

量の減塩とは

どんなに塩分が多い料理でも食べる量を半分にすれば、摂取する塩分量も半分になります。つまり調理に使う塩分を減らさずとも、食べる量をコントロールすることでも減塩になるのです。

具体的には塩分の多いおかずの量を減らします。そして、主食であるご飯やパスタ(無塩茹で)は塩分を含んでいませんので、足りない分は主食の量を増やすという減塩方法です。

おかずの量を減らすのですから味自体はいままでと変わりません。おいしいと感じる味で食事ができるのです。

高血圧対策の減塩というと、料理に使う塩分を減らして淡い味に仕上げることが命題になっている感もありますが、正直なところあまり美味しいとは思えません。私のように何十年も濃い味に慣れ親しんできたのならなおさらです。
もちろん、高齢に向けて淡い味に慣れていく必要はあるのですが、もう一つの手法である「量の減塩」も活用することで実生活に適した減塩が可能になると考えています。

 それぞれの特徴は?

この2つの方法には全く異なるメリットとデメリットがあります。その違いを意識して扱わないと減塩生活は一層辛いものになってしまうでしょう。

濃さの減塩のメリット/デメリット

料理に使う塩分量を減らす。

メリット デメリット
食事のバランスが変わらない 家族とは別に減塩料理が必要になる
減塩調味料に切り替えるだけでも減塩が可能 自炊が前提となり、市販品が利用できなくなる
素材の味を楽しめる 薄味となり美味しいとは言えない
外食が減るため食費が減る 外食ができないため外出時に困る

自炊が前提となり外食や市販品を利用することが難しくなるため、本人と家族の負担が増えます。

量の減塩のメリット/デメリット

味付けは従来通りで塩分の多い料理の量を減らす。

メリット デメリット
家族と別に料理を用意する必要がなくなる 炭水化物過多の食生活になるため太りやすくなる
自炊の場合、おかずが減るため食費が浮く 脂質が減り炭水化物が増えるため腹持ちが悪くなる
今までどおりの濃い味も楽しめる 市販品一人前では量が多いので取り分ける必要がある
外食も可能 外食では塩分の多いおかずを残さないといけない

今までどおりの食生活をベースにして食べる量でコントロールをするため、患者本人の自制する強い意志が必須となります。

タイプ別減塩手法

幾つか例を挙げてみましょう。

家族がいる場合

家族用とは別に自分だけの減塩料理を用意するのはなかなか大変なことです。家族と自分の負担を増やしたくないなら、おかずの量を減らす「量の減塩」が最適です。

ただし、地域・家系の食文化的に料理が塩分過多なら、家族・子孫の高血圧を予防するためにも家族全員で「濃さの減塩」に取り組みましょう。

一人暮らしの場合

自炊中心の生活なら「濃さの減塩」、市販品・外食が多いのなら「量の減塩」というように小回りが効きますので比較的楽に実践できます。2つの手法を生活シーンにあわせて切り替えながら減塩を行いましょう。

外食が多い場合

「外食は塩分が多くて利用できない」という悩みは高血圧患者共通のものですが、実は塩分の多い料理を残すという「量の減塩」を行えばどの店でも利用が可能です。残さず食べることを躾られた人にとっては大変辛い行為ですが、命が掛かっていますのでやむを得ません。定食屋でご飯を大盛りにしておきながらおかずを残すという行為は一般的にはご法度ですが、高血圧患者の減塩としてはアリなのです。

余談ですが、海外のように外食で食べきれなかった料理をパックに詰めて持ち帰れる文化があれば良いのですが、国内ではなかなか難しいですね。実は国内でも食品衛生法では食べ残しの持ち帰りは禁止されていません。しかし、客の責任で持ち帰った料理でも粗雑に扱うなどして食中毒を起こした場合、店も責任を追求されてしまう恐れがあります。このため多くの飲食店では食べ残しの持ち帰りを禁止しているのです。多湿の国ですのでしかたがないのかもしれません。出された料理を残さず食べることを良しとする日本の食文化はこうした理由が根底にあるのかもしれませんね。

血糖値も気になる人の場合

年令を重ねるにつれて高血圧と同様に気になりだすのが血糖値。無塩の主食であるご飯やパスタなどは糖質が多く食後の血糖値を急上昇させてしまいます。このため塩分を多く含んだおかずを減らしてご飯を増やすという「量の減塩」はこのタイプの人には適していません。
そんな方には糖質が少なく高タンパクの食品である「豆腐」がオススメです。血糖値が気になる方が「量の減塩」をするなら豆腐を主食として活用しましょう。

減塩とダイエットを平行して行うなら

生活習慣病から高血圧を引き起こしてしまうと、減塩を始める際にセットで指導されるのがダイエットです。体重の減少はてきめんに血圧低下に効いてきます。しかし、この場合の減塩は「濃さの減塩」を中心に考えないといけません。

実は「量の減塩」はダイエットと極めて相性が悪いのです。特にご飯やパスタなどを避ける糖質制限ダイエットは「量の減塩」と全く逆のことをしています。つまり糖質過多の食事に見合った十分な運動が出来ないのであれば、減塩は出来てもダイエットは失敗してしまうでしょう。

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このためダイエット期間中は「濃さの減塩」を中心にしましょう。
ただし、一旦ダイエットが完了してしまえば「量の減塩」も活用できるようになり食事が一層楽しめるようになります。ダイエット中は不自由で仕方ないでしょうが、それを目標に頑張ってください。

これだけは注意!! 「濃さの減塩」と「量の減塩」を混ぜてはいけない

「濃さの減塩」と「量の減塩」を同じ1食の中に取り組むと失敗します。味の濃い料理と味の薄い料理を同じ食卓に並べてはいけないということです。

具体的に例を挙げて説明しましょう。
蒸し鍋をメインにした減塩メニューに、スーパーで買ってきたお惣菜の餡掛け肉団子を少しだけ追加したとします。

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蒸し鍋とは、土鍋に極端に濃い出汁を少量入れ、野菜や肉、きのこなどの食材を蒸す私の減塩料理の定番です。寄せ鍋と蒸し料理の中間的な存在です。黒胡椒を振れば醤油や味噌などの調味料を使わずにほぼ無塩でもそれなりに美味しく頂けます。これはオススメ。

さてその蒸し鍋、一口目は「まあ多少味が淡いけど十分おいしい」と思うのですが、味の濃い肉団子に手を付けた後でもう一口食べるとビックリします。「アレッ!? 味がしない!!」 先ほど確かに「おいしい」と思った料理の味を感じることができなくなっているのです。

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この現象は味の濃い肉団子が比較対象になり、蒸し鍋の味の薄さが際立ってしまったことで発生しています。私たちはおいしいか否かは舌の味蕾ではなく脳で判断しています。たとえ舌から同じ味だという信号を脳に送ったとしても、脳はその前に食べた濃い味と比較して「味がほとんどしないからこれは不味い!」と判断してしまうのです。
つまり、たとえ量が少なくても味の濃い料理を同じ食卓に並べると、それだけで減塩料理をおいしくないものに変えてしまうのです。

「減塩料理は不味い」と言われてしまう原因の1つがコレでしょう。

このように「濃さの減塩」と「量の減塩」は相性が良くないのです。この2つの減塩の手法は出来る限り分けて運用しましょう。それが美味しく減塩をするコツだったのです。

そうは言っても世の中はなかなか自分の思い通りにはいきません。もし、家族用の味の濃い料理と自分用の味の薄い料理が揃ってしまったときには食べる順番に注意しましょう。味の薄い料理を食べきってから味の濃い料理に手を付けるのです。これだけで「味がしない=不味い」という不満を大幅に減らせるはずです。是非実際に試してみてください。

こうやっていろいろ考えてみると減塩抜きにしても献立って大事ですよね。

私はこうして減塩しています

私の場合は既にダイエットが終了していますので、この2つの方法を生活シーンに合わせて使い分けながら減塩を行っています。ダイエット時に比べて主食であるご飯/パスタ/うどんなど糖質の割合が増えていますが、運動もしっかり行っているため体重も一定範囲にキープできています。ただし、前回の血液検査で血糖値が要指導でしたので、豆腐や厚揚げを主食とする日を意識的に増やしています。

外食も塩分の多いものを残すことで利用することが出来るようになり、外出がかなり楽になりました。しかし、(躾なのか貧乏性なのか分かりませんが)食事を残すという行為にはいまだに後ろめたい気持ちになってしまいます。これは慣れていくしかないですかね。

そんな感じでしょうか。

さて、今晩は何を食べましょうか。

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