袋ラーメンはお湯を入れ替えると塩分が減るのかを「サッポロ一番塩らーめん」で確認してみた

久しく食べていない袋ラーメンですが、血圧の調子がよいのでそろそろ解禁しましょう。
もちろん食べるのは麺だけで、昔のようにスープをゴクゴク飲むのは厳禁です。

せっかくなので「とある噂」を確認してみましょう。

袋ラーメンはお湯を入れ替えると塩分が減るのか?

乾麺内の塩分は茹でる際にお湯に溶けだします。これは以前そうめん「揖保乃糸」で確認をしました。

●参考
そうめん「揖保乃糸」を茹でるとどれだけ塩分が抜けるのか確認しよう

同じように「袋ラーメンは麺を茹でたお湯を捨てて、新しいお湯でスープを作ると塩分が減らせる」という噂があるのはご存知でしょうか? その理屈はそうめんと同じ「茹で汁に塩分が溶け出すため」です。

今回は塩分計を使い、これが本当か、そして減るならどの程度かを確認します。

成分表を見てみよう

20150901_sapporo_ichiban_05

調理前の値と調理後の参考値が表記されています。ナトリウムと塩分相当量が混ざっており分かりにくいので、塩分相当量にまとめてみましょう。

●調理前後の塩分相当量

タイミング めん・やくみ(g) スープ(g) 合計(g)
調理前 1.5 4.3 5.8
調理後 1.5 4.3 5.8

ナント!! 予想に反して同じ値でした。
成分表の「調理後」という参考値は完成後にスープを分離して測定しています。このため茹でることで麺から塩分が抜けたとしても、ラーメンが完成した際にスープの塩分を麺が再吸収しているのかもしれません。

まずは茹でることで本当に麺から塩分が抜けるのかを確認しましょう。

測定しよう

今回は定番の袋ラーメンであるサンヨー食品「サッポロ一番塩らーめん」を使います。

麺は塩分が抜けやすいように鍋いっぱいのお湯を使います。このお湯を取っておき塩分を測定するのです。

20150901_sapporo_ichiban_03

スープはやかんのお湯で作ります。

20150901_sapporo_ichiban_02

ちょっとイケナイコトをしているような心持ちです。

試食の結果は後にして、早速測定結果をみていきましょう。

茹で汁の塩分量

20150901_sapporo_ichiban_06

茹で汁:1333ml
塩分濃度:0.04%

1333×0.04/100=0.5332g

茹で汁に残った塩分は0.5gです。
調理前は麺とかやくで1.5gですので塩分の1/3がお湯に流れでたことになります。

0.5gの減塩が可能、だが・・・

この測定により、茹で汁を捨ててスープを新しいお湯で作った場合は0.5gの減塩が可能ということがわかりました。しかしこれにより、スープに麺を入れると今度は麺がスープの塩分を吸うということも証明してしまいました。

麺を茹でることで減塩できる0.5gは少ない量だと感じると思います。ラーメン完成後に麺にスープから塩分が供給されるため、実際に減塩できる量は0.5gからさらに少なくなるでしょう。

おそらく、麺だけ食べてスープを捨てると摂取した塩分量はほとんど減らないのではないでしょうか。
スープを完飲するなら塩分は確実に0.5g減りますが、そのときは5.3gと極めて多い塩分を摂取することになってしまいます。1日6gという塩分制限をしている人のほぼ1日分です。これは高血圧患者としては絶対にしてはいけない行為です。

減塩をしている高血圧患者という視点で見ると、「ほとんど変わらない」と言い切ってしまったほうが正解に近いのではないでしょうか。
もうがっかりです。

お味の方は?

せっかくなのでラーメンの完成状態も御覧ください。

20150901_sapporo_ichiban_04

塩ラーメンらしく胡椒で炒めた野菜をトッピング。
久しぶりのサッポロ一番は美味しかったです。

食べ始めは茹で汁を捨てた影響をほとんど感じませんでしたが、食べきる頃に若干の物足りなさを感じました。
今回の作り方では茹でたお湯に含まれる塩分以外の成分も捨てていることになります。茹で汁には油が浮いています。しかし麺完食後のスープには油が浮いていません。お湯を捨てることで油揚げめんのラードがなくなってしまうため、これが物足りなさの原因かもしれません。
そこで茹で汁も少し味わってみました。旨味や塩分も薄くこれだけでは美味しいものではありませんが、たしかにスープのベースになっている味があります。特に後味にサッポロ一番特有のあの麺の味をしっかり感じます。これも「いつもと違う」と感じた原因の1つでしょう。

まとめ

サッポロ一番塩ラーメンで麺を茹でたお湯を捨てて、新しいお湯でスープを作ると、

  • 麺から0.5gの塩分が抜ける
  • ただしスープに麺を合わせると麺は塩分を再吸収してしまう
  • このため高血圧対策の減塩としてはほとんど効果がないと思われる
  • 麺に含まれるラードも捨ててしまうため、ちょっと物足りない味になる

残念ですが期待通りの結果にはなりませんでした。「袋ラーメンのお湯を入れ替えると減塩できる」という噂は今回の結果では同意することができません。塩分の話は抜きにして、さっぱりとした味が好みならこの作り方もアリという感じでしょうか。

「麺が伸びる」ということは「麺の塩分が増える」ということだったのですね。もし袋ラーメンで減塩をしたいのであれば、つけ麺や蕎麦のように別の器に用意したスープにサッと浸けて食べたほうがよいでしょう。麺がスープから塩分を再吸収する時間が短くなります。もちろんスープ割りで完飲は厳禁です。

うーん、残念無念。

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コメント

  1. フランス切手 より:

    麺だけを食べて、汁は残す。残りスープの塩分量がわかると、完璧ですね。

    • ameo より:

      コメントありがとうございます。
      管理人のameoと申します。

      まさに仰るとおりです!
      残ったスープの塩分も測定したいのですが、私の塩分計ではそれが叶わないのです。

      この塩分計は食塩以外の成分も検出してしまうため、食塩水に近いほど正確に測れるのですが、スープやめんつゆなど塩分以外の成分が濃くなると誤差が大きくなってしまいます。
      いろいろな成分が混じりあう完成した料理には使えないのです。

      うーん、なにかよい方法があるといいのですが……。

  2. しゅう より:

    心臓の病気から入院してしまい、減塩生活に入門したものです。「乾麺を茹でると塩分が減る」と「缶詰め減塩タイカレー」は大変参考になりなした。袋麺についてですが、関西方面育ちの自分が関東での入手が困難で困っている「イトメン(社)のチャンポンメン」がお薦めです、なんと言っても製麺について塩分不使用、スープの塩分は普通なのですが麺だけ食べれば良い感じで減塩出来ます、お薦めです。(楽天市場とか神戸のアンテナショップ有り)

    • ameo より:

      しゅうさん、はじめまして。
      管理人のameoと申します。

      おぉー、素晴らしい情報ありがとうございます!
      このイトメンの「チャンポンめん」、関東育ちの私は初めて見ましたが、関西のソールフードなんですね。
      いろいろ見ていたらどうしても食べてみたくなり注文してしまいました。

      一般的に麺に含まれる塩は味付けというよりコシを出すために必要だと言われています。
      塩を使わない麺がどのような食感になるのか興味があったのです。

      これは楽しみです。
      食べたらレポートしますね。

  3. エンブン より:

    記事をいつも楽しく拝見しております
    しかし今回の記事では錯誤があるように思いましたのでコメントさせていただきます
    調理前.調理後の塩分比較をされていますが、成分表の上段の記載はナトリウム量であり、
    下段はそのナトリウム量を塩分相当量に換算したものと思われます
    そして、その「ナトリウム量=食塩相当量」は「調理後」に計測したというのが但し書き
    です 調理前の値はこの成分表には記載されてはおりません
    多謝

    • ameo より:

      コメントありがとうございます!
      管理人のameoと申します。

      この袋麺であれば調理で成分総量は変わりませんが、他の食品には調理前後で成分量が変化するものも多いですよね。
      肉を加えるとか油で炒めるとか塩水で茹でるとか。
      食品表示法に基づく「標準栄養成分表」にはその商品パッケージに含まれる成分を記載しなくてはいけません。
      つまりそれは調理前の成分と言えます。

      しかしそれでは実際に摂取するカロリーや成分がわかりません。
      このために最近は「表示の分量で作った場合(一皿)」や「茹で上がり100gの食塩相当量」というように、調理後の参考値が併記されていることが多いのです。
      今回の「調理直後に分別して分析」もこれに該当します。

      せっかくなのでサンヨー食品に問い合わせてみました。
      やはり標準栄養成分表に記載されている「めん・やくみ」と「スープ」のナトリウム量は調理前の値とのことでした。
      スープの小袋とそれ以外で分けて表記しているのだそうです。

      調理前後で同じ値という偶然が話をややこしくしてしまいましたがそういうことなのです。
      納得いただけると嬉しいです。

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