脳出血発症から1年余りが経ちましたが、私の脳はどのように変化したのでしょうか?
発症直後と1年後の脳の画像を入手しましたので比較をしてみましょう。
脳の撮影タイミングと撮影方法はこのとおりです。
①:発症直後(CTスキャン)
②:発症11日後(MRI)
③:発症1年後(MRI)
では順に見ていきましょう。
①:発症直後(CTスキャン)
2014年12月27日の昼過ぎに私は脳出血を発症し、救急車で病院に搬送されました。これが直後に撮影したCTスキャンです。
発症の2時間後程度でしょうか。白く見えているのが出血です。
なお、CTとMRIの画像は左右が逆に写ります。
つまり左脳の脳出血ということです。
このCTスキャンを撮影後に医師から脳出血であることを告げられ、集中治療室に入りました。
このときはなんとか歩ける程度の右半身麻痺、気持ちや症状を言葉にすることが出来ない失語症。ふとしたことで直前までしていたこと考えていたことを全て忘れてしまう。話してもろれつが回らないし、極端に声が小さい。そんな症状がでていました。
②:発症11日後(MRI)
数日間絶望を味わいましたが、その後幸運にも順調に回復することができました。退院可否の最終確認をするために11日後の2015年1月7日にMRIを撮影。
血は残っていますが出血自体は止まっています。後遺症も「生活に支障はないレベル」という判断で退院となります。ただし、正確には若干の右半身麻痺と失語症が残っていました。
③:発症1年後(MRI)
この画像の撮影は発症からちょうど1年後の2015年12月24日です。白く写っていた出血は綺麗になくなっています。
後遺症もほぼ解消されています。
(まだ「漢字読めるけど書けない」など細かい課題はありますが)
1年でどのように変化したのか見てみよう
画像を並べて変化を見てみましょう。
1年後には出血が綺麗になくなっていますが、その場所に穴ができているのが分かります。
出血により壊死した神経細胞は分解吸収されてしまい、空いた場所に脳脊髄液が溜まっているのです。つまり脳の内部が部分的に萎縮したということです。
その消えてしまった私の脳細胞がどのような機能を持っていたのかは分かりませんが、現状の回復具合を見る限り、もともとあまり使われていなかったのか、もしくは似たような神経ネットワークを別の場所に作り出すことが出来たのかのどちらかでしょう。
自分の脳の中に穴が出来てしまったというのはなんとも不思議な気分です。
視床出血ではなく被殻出血だった、のかも
私は今の今まで視床出血だと思っていたのですが、MRI画像を見るとちょっと違うのではないかと感じ始めています。この画像でみると視床は図の丸い箇所であり、出血の中心は被殻と呼ばれる部位です。
つまり、これは被殻出血ではないかと思われるのです。もしくは「被殻を中心として視床にも広がった脳出血」と呼んだほうが正しいようにも思います。
発症直後はどの部位で何が起きているかを知るのが最優先です。もし脳梗塞で4時間半以内であれば血栓を溶かすt-Pa治療を行うことができます。MRI撮影で使う40分という時間は患者にとっては大きなリスクとなるため、短時間で確認ができるCTスキャンを用いているのでしょう。そんな理由もあり初回診察時にはご覧のようなCTスキャンの不鮮明な画像で判断をしなければいけません。この画像をみて「視床周辺で出血」と言われたのかもしれません。
さらにもう一つ、勘違いをした原因に私も関わっていることを否定できません。入院当時はまだ失語症の影響が残っており、うまくコミュニケーションが取れない状態にありました。「被殻と視床に出血がある」と言われていたのに私が理解できなかっただけなのかもしれません。失語症を経験したことがある方にはご理解いただけると思いますが、その辺りはとてもではないですが自信がもてないのです。
視床は嗅覚以外の全ての感覚の中継をする部位と言われています。集中治療室で物が二重に見える症状が出ていたので視床への影響が全くなかったとは言えないのですが、しびれや感覚障害、そして視床痛など視床出血特有の症状がでなかったのは被殻出血だからという理由なのかもしれませんね。
ちょっとスッキリしませんが、視床出血でも被殻出血でも今私がやるべきことに違いはありません。幸運にも順調に回復できたため次の通院は2年後ですが、そのときにでももう一度詳しく聞いてみたいと思います。
出血したのは本能の脳
人の脳は大きく分けると3つに分けられます。中心部の生命維持の脳「脳幹」、その上に本能や感情に関わる脳「大脳辺縁系」が乗り、その周囲を包み込む「大脳新皮質」が理性や知性、記憶の脳です。これらが連携して働くことで、生命維持と本能そして理性をバランスさせた人間らしい振る舞いができるようになるのです。
私の場合は外側の大脳新皮質の記憶野や運動野の神経細胞そのものが壊れたわけではありません。出血の位置的に本能の脳か中継経路に支障が出ていると考えて間違いないでしょう。そう考えると漢字が読めるけど書けないなど、確かに覚えているけどどうしても思い出せないという症状も納得がいくようになるのです。
しかし連絡経路が断たれただけであっても、使うことができなくなった記憶はいずれ衰えてしまうでしょう。必要がない記憶や機能は捨てられていくのが脳のサダメです。いずれ「漢字覚えているけど思い出せない」は「こんな漢字知らない」に変化していくのかもしれません。「えーっと、名前なんだっけなぁ」は「あんた誰?」になってしまうかもしれないのです。
そうなる前に、立て付けの悪いドアは無理やりでもこじ開けなければいけません。頑張らねば。
脳の血管も見てみよう
MRIでは特定の組織を強調して見ることができます。
これは血管だけの画像です。
上の画像の左右に2本ある太い血管が首から繋がる頸動脈ですね。
動脈硬化が進み、この太い血管に血栓が詰まると脳の半分が壊死してしまいます。
脳血管の動脈瘤もこの画像から探すのでしょう。
私は大丈夫でしょうか?
素人の私にはいくら眺めてもサッパリ分かりません。
脳のシワを見てみよう
頭を開けると私の場合はこう見えるようです。
私の脳にもしっかりシワがありますね。安心しました。
役割が違うため当たり前なのでしょうが、脳は左右対称ではないんですね。
かなりグロい画像が続きましたが、これが自分だと思うと妙な親近感が湧いてきます。
私が一生を共にする脳です。
大切にしていきたいですね。
コメント
どんちゃんさん、こんばんは。
管理人のameoと申します。
コメントありがとうございます。
大変申し訳ないのですが個人が特定できる批判であったためコメント掲載を見合わせています。
真実であっても病院やその方が「誹謗中傷である」として法的措置をとられた場合、私はどんちゃんさんのメールアドレスやIPアドレスの開示を拒否することができません。
メリットのない危ない橋は渡らないに限りますよ。
視野欠損についてですが、少しだけ誤解があるようです。
脳障害の視野欠損はかなり特殊です。
右脳は右目と左目の視野の左半分を受け持っています。
このため脳障害の視野欠損は両目の同じ場所が見えなくなるという症状がでるのです。
つまり脳障害の視野欠損の場合は片目の検査は必要ないのです。
ここが白内障など眼科の受け持つ視野欠損と大きく違う点です。
運転免許ではこれが厄介な話となります。
片目失明でも視野が確保できれば運転は可能です。
しかし脳障害の視野欠損では、両目が見えていても視野の縁が欠けているだけで運転不可と判断されてしまうことが多いのです。
まずはご自分の視野範囲を再確認することから始めましょう。
運転の可否の最終判断をするのは医師ではなく、運転免許試験場、つまり各都道府県の公安委員会です。
もし視野に問題がないのであれば、障害者の運転再開を支援しているリハビリセンターや教習所に相談することをお勧めします。
運転免許の専門家から「運転再開可」とのお墨付きが貰えれば、専門外の医師は前向きに考えざるを得ないでしょう。
運転再開を強く望むのであればもうひと踏ん張りしてみましょう!