今回ご紹介するのは「茹で大豆」。
高血圧対策の減塩と減量を手助けするスグレモノです。
どうして良いのかをしっかり学んで大いに活用しましょう。
茹で大豆とは?
なんのことはない、茹で大豆とは軽く茹でただけの大豆のことです。
大豆の水煮のように指で潰せるまで長時間煮込んだものとは違い、あえてエダマメのような歯ごたえを残した大豆、それが茹で大豆です。
すいません、、、「茹で大豆」は適当な言葉がなかったので私はこう呼んでいます。
作り方
作り方は極めて簡単
使うのはどこのスーパーでも売っている乾燥された完熟大豆です。
大豆を鍋に入れ6時間ほど水を吸わせます。
エダマメサイズまで膨れるので水はたっぷりと。
火にかけて沸騰させるとアクと臭みがでるので一度茹でこぼし。
もう一度水から茹でて沸騰したら5分。
ザルに上げて、ハイ完成!!「茹で大豆」。
乾燥状態100gの大豆は茹で上げると220gになります。
このように水煮の2時間という茹で時間を10分程度に減らしただけのものです。
火を止めるタイミングは味見をしながら決めましょう。
茹でが足りないと硬い皮が歯に絡んできます。
そして実にエグみが残ります。
茹ですぎるとポリポリという心地よい食感がなくなります。
ご飯やパスタの要領で自分好みの茹で加減「アルデンテ」に仕上げましょう。
出来上がった茹で大豆は冷蔵庫で2~3日の保存が可能。
冷凍保存は食感が悪くなるのでオススメしません。
茹で大豆ってどんな味?
では食べ比べてみましょう。
エダマメ
まずエダマメ。
ご存知のようにエダマメは未成熟の大豆です。
爽やかな香りとつややかな舌触り。
噛むとムチムチとした弾力とともにポリポリという心地よい歯ごたえ。
うん、美味しい。
噛めば噛むほど口の中に豆の旨味が広がります。
大豆の水煮
次に大豆の水煮、煮物用食材ですね。
歯ごたえはなくチーズのような粘り気があります。
崩れた大豆は口の中で滑らかに溶けていき大豆の旨味が広がります。
コッテリという表現が合ってますかね。
その味も噛んでいるとすぐに流れて消えていきます。
ただ、やはり「味のついていない大豆の煮物」ですね。
このままではあまり美味しいものではありません。
茹で大豆
最後に茹で大豆。
見た目は水煮と変わりませんが・・・。
エダマメのような弾力感は少ないのですが、ポリポリコリコリという歯ごたえがあります。
こちらもエダマメ同様に砕けていくため、噛めば噛むほどに旨味が口の中に広がり味が長持ちします。
そのまま食べても美味しいです!
なぜ大豆が減塩/減量によいのか
私達の主食は米や小麦ですが、これらと比べると大豆の成分は相当に異質です。
この違いを理解しうまく活用できれば高血圧対策に大いに役に立つことでしょう。
①大豆は低糖質、しかし高タンパク/高脂質
日本人の主食と言えばご飯やパン、そして麺類。
これらの原料である米と小麦は炭水化物が極めて多いという特徴があります。
しかし大豆の成分は全く逆、炭水化物が極めて少ないのです。
さらに炭水化物の多くが食物繊維であり、糖質がわずかにしか含まれていません。
そしてたん白質と脂質が豊富です。
このことが皮や脂を取り除いた肉に近いことから「大豆は畑のお肉」と呼ばれているのです。
このように大豆と穀物は成分構成が全く別物なのです。
糖質は素早く大きなエネルギーを作り出すことに適していますが、その反面余って消費できなかった糖質は脂肪になりやすいというデメリットも併せ持っています。
つまり肥満の原因が糖質の過剰摂取という人にとっては、大豆は最適な食材というわけです。
②大豆は無塩で低カロリー
では上記グラフを1食分に換算してみましょう。
差が大きくなりましたね。
茹で大豆が1食100gと少ない点にツッコミが入りそうですが、歯ごたえがあり脂質も多いため、主食として考えると食べごたえがあり食感が重い食べ物です。
このくらいでないと食べきれないでしょう。
私も実際に1食100gを目安に用意しています。
茹で大豆は脂質が多めではありますが摂取量が少ないお陰でカロリーも少なめとなるのです。
そして茹で大豆は塩分もゼロです。
塩分制限を始めるとパンや麺類に手を出しにくくなり食事の多様性が一気に悪化してしまいます。
そこに主食として茹で大豆を加えましょう。
豆そのものを主食とした料理というアプローチは食事のバリエーションを増やすことにもなるでしょう。
③大豆は炭水化物に偏った食事を整えるのに最適
日本食品標準成分表2015年版ではエネルギーを
タンパク質:13~20%
脂質:20~30%
炭水化物(糖質):50~65%
という比率で摂取することが望ましいとしています。
この比率は「エネルギー産生栄養素バランス」、または「PFCバランス」と呼ばれています。
ついついパン/パスタ/ケーキ/ご飯など炭水化物(糖質)に大きく偏った食生活になりがちな方は、食事に茹で大豆を取り込むことでバランスを整えることができるでしょう。
ただし一点ご注意を。
このバランスとともにエネルギー総量の管理も必須です。
この2つはセットで考えなくてはいけません。
炭水化物でカロリーオーバーの食事に大豆を加えると一見バランスは良くなりますが、カロリー過多はさらに悪化してしまいます。
糖質過多ならご飯やパンを減らしその代替えとして大豆を使う、というのが正しい対処法です。
④大豆は糖質制限ダイエットに最適
大豆の成分構成は糖質制限ダイエットにも最適です。
茹で大豆を主食にすると糖質を大幅に減らすことが出来るようになります。
ただし糖質が極めて少ないため、全ての主食を大豆に切り替えると極端な糖質制限になってしまいます。
体が耐えられないかもしれません。
前出のグラフのように炭水化物(糖質)は重量比で70%弱を摂取すべきとされています。
糖質制限にはいろいろな解釈がありますが、現時点では食のバランスを大きく崩して痩せる試みであることも決して忘れないでください。
何ごとも極端はいけません。
チャレンジするならまずは1食から始めましょう。
⑤大豆の脂は良い脂!?
前出の「エネルギー産生栄養素バランス」には大切な補足があります。
それは脂質の「質」についてです。
脂質の大半は脂肪酸ですが、脂肪酸を大きく3つに分類すると飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸となります。
動物植物と脂質を含む食材はたくさんありますが、この脂肪酸の比率がそれぞれ違います。
特に魚を除く肉の脂質には飽和脂肪酸が多く含まれています。
そして飽和脂肪酸は人間も体内で生成できるため無理に摂取する必要はありません。
高血圧やその合併症を心配する私達がもっとも注意すべき成分は飽和脂肪酸です。
この飽和脂肪酸が動脈硬化を促進させているのです。
このため「エネルギー産生栄養素バランス」でカロリーの25%を摂取するように推奨されている脂質ではありますが、飽和脂肪酸は7%以下に抑えましょうと補足されています。
そこで大豆です。
大豆は脂質の比率は高いですが動物の肉とは違い飽和脂肪酸は少なめです。
もし肉を欲するのであれば、動物の肉を減らして畑のお肉「大豆」を増やした料理にするとよいでしょう。
そうなんです、大豆は「主食の代替」だけでなく「肉の代替」としてオカズにも活用できる異質の食材だったのです。
なお、肉も皮下脂肪と脂身をしっかり取り除けば飽和脂肪酸は大幅に減ります。
肉は絶対に摂取不可という話ではありませんのでご注意ください。
では、例えばこんな料理。
冷蔵庫の余り物で作った炒め物です。
少ない肉の替わりに、そして炊き忘れたご飯の替わりに大豆を追加しています。
低塩分で糖質が少ない、かつ飽和脂肪酸も少ない料理ですが悪くはない一品です。
⑥大豆は食べごたえがあり腹持ちがいい
大豆は糖質で血糖値をドカンと上げて満腹中枢を刺激するものではありません。
大豆に多く含まれるたん白質と脂質は消化が穏やかに進むため胃に溜まる時間が長い、すなわちお腹が減りにくいのです。
お肉を食べるとなかなかお腹がすかないという経験があると思いますが原理は同じです。
また茹で大豆は食感がポリポリとしているため、柔らかい他の主食と比べると咀嚼回数が倍程度に増えます。
このことが食べている満足感を増やしてくれます。
ちょっと小腹がすいたときに少しだけ摘むのもいいですね。
私も食事だけではなく空腹しのぎにも活用しています。
裏を返すと茹で大豆は消化が悪い食べ物とも言えてしまいますので、胃もたれを起こしやすいなど消化器系が弱い方は十分にご注意ください。
⑦大豆は美味しい
美味しい。
やはりコレは絶対条件ですね。
体に良くてもマズイものでは続きません。
主食にもオカズにもなる変幻自在の茹で大豆。
是非一度試してみてください。
例えばこんな料理に
どんな料理に合うかいろいろ試してみました。
1.アジア風料理
アジア風料理との相性は抜群ですね。
ガパオライスをガパオダイズ(?)にしてみました。
やはりご飯を大豆にすると食べごたえがあります。
黄身を絡めながら食べると一層美味しいです。
カレーダイズ(!?)です。
見た目はアレですが予想以上に美味しかったです。
豆のカレーなんてものもあるのでもともと相性は良かったようですね。
コリコリとした食感が楽しい一品です。
2.トマトソースで
トマトソースとの相性もいいですね。
パスタ用ミートソースと合わせてみました。
鶏肉のトマトソース煮に添えて。
やはりニンニクの効いたトマトソースと大豆はよく合います。
大豆は表面がツルツルしているためソースを吸わず、からみも悪いです。
このためサラサラしているスープパスタのようなソースは苦手のようです。
3.量の少ない減塩料理に追加して
減塩料理は概して料理の量が少ないのがツライところです。
量を減らすことでも摂取塩分を減らすことができるからです。
まだまだしっかり動く人にとってはカロリー不足になりがち。
そんなときには無塩で糖分の少ない茹で大豆を追加しましょう。
以前ご紹介したイオンの冷凍弁当に大豆を追加しました。
このシリーズは塩分が少なくて良いのですが、量も少ないのが働くオッサン的には悩みどころです。
大豆を少量加えるだけでも満足度がメリメリッと増します。
食事の量に物足りなさを感じたときに思い出して欲しい活用法です。
4.失敗も
納豆大豆・・・。
あぁぁぁ、、、、これはダメだよね。。
納豆と大豆の味の相性は悪くありません、と言うか悪いわけないのですが、歯ごたえのある茹で大豆と歯ごたえのない納豆が混じりあう不快感。
口の中に似たような味だけが広がる物足りなさ。
マズイです!
何度も箸が止まり、ため息が出る一品でした。
5.そのままポリポリ
私も小腹がすいたら少量取り出して食べています。
クッキーの袋を明けるとついつい全部食べてしまう(私のような)人にはおすすめです。
冷蔵庫に常に確保しておきたい食材ですね。
6.お酒のアテにも
高血圧対策の食事療法をしている手前あまり大きな声では言えませんが、酒のアテにもぴったりです。
酒のつまみと言えば高塩分のものが多いですよね。
しかしこれは無塩で低糖質。
飽和脂肪酸もピーナッツの15%しかありません。
エダマメ感覚でポリポリいけてしまいます。
やはりビールに良く合います。
しかもツマミとしては極めて安い!(←コレ重要)
まとめ
勢い余って長々と書いてしまったので要点をまとめておきましょう。
・大豆は極めて低糖質
・大豆を穀物の主食と入れ替えると糖質とカロリーが減らせる
・大豆は肉の代替としても最適
・大豆は動脈硬化を促進させる飽和脂肪酸がすくない
・大豆は腹持ちがいい
・減塩食の量が物足りないときに茹で大豆
・茹で大豆を主食にオカズに間食にと大いに活用しよう
・「茹で大豆」はおいしいよ!!
いかがでしょうか?
茹で大豆は減塩と減量を指導されている方には最適な食材ではないでしょうか。
是非是非一度試してみてください。
「おっ、意外とイケるな」と感じた人は儲けものです。
この優れた食材、大いに活用してくださいね。
コメント
大豆のおかず、写真入りで、大変参考になりました。
美味しそうですね。
ありがとうございました。
私は 大豆ごはん を毎日作っています。
お米2合、大豆二分の一カップ
大豆は 2~3時間 水につけておく。
お米2合を ふつうのお水加減で
水につけておいた大豆をよく水をきって加えて炊くだけ。
とてもおいしいです。
大豆の ほんのりした甘味、歯ごたえ、ご飯とあいます。
是非 お試しくださいませ。
あー、大豆ご飯いいですね。
思いつきませんでした。
糖質の多いご飯と糖質の少ない大豆の組み合わせは栄養バランス的にもバッチリです。
無塩でかつボリュームもアップ。
良いこと尽くめです。
私も試してみますね。
塩分制限を始めた頃は食べるものがなくて苦労していたのですが、
探せばいろいろあるものですね。
こういう情報はどんどん共有していきましょう。
ではまた!