2014/12/28 歪む世界に独り

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状況

起床時間は6時。
しかしほとんど寝ることが出来なかった。

疲れてウトウトしても測定器のアラートで目が覚めてしまう。
もしかしたらこの治療中は寝てはいけないのかもしれない、とワケのわからないことを考える。

点滴を打っているために食事はなし。
というか昨日の昼のカップヌードル以降何も食べていないのにお腹が全く空かない。
不思議な感覚。

昨日診察でやった「右手を真っ直ぐ広げられるか」を試してみる。
まだ左手と同じように真っ直ぐにはならないが、少しだけ改善したようで嬉しくなり何度も繰り返す。
診察時に先生にそれを見せるが、話しかけられて手から意識が離れるとまた指先が丸まってしまう。
まだダメですね。
でも「脳の機能障害は回復しない」と思い込んでいただけに、「回復した」という事実には勇気づけられた。

今日もCTスキャンを撮影する。
「血は止まったね」と言われ少しだけ安心。
これで死への恐怖も和らいだ。

ブレる視界

この時何かを見つめるとモノが二重にダブって見えていました。
蛍光灯など1本のものが左右に綺麗に並んで見えるという現象です。

私はもともと乱視をもっているのでそのときはあまり気にしていませんでしたが、冷静になって思い返してみると乱視のにじむようなボケとは違います。
くっきり離れて2つ見えるのです。

後で調べてみると、この視覚障害も脳出血の症状の一つだったようです。

もう一本の右手

右手には血圧計がつながっているため、あまり自由が効かない。
なので布団の中に入れている。
しかし時折不思議な現象が起こる。

布団の中の右手の感覚が無くなり、別の右手が何かをしていると感じることがあるのです。
無精髭を引っ張っていたり、スマホを手の中で転がしていたり。
マウスを握っている場合もありました。
普段の癖をを見えない右手がやっているのです。

しかもリアルな感触付き、スマホの場合はフレームの冷たい温度までも感じているのです。
アレっと思い、本物の右手を動かすとその感覚はスッと消えます。

看護師さんに報告をしておきましたが、キチンと説明できたかは不明。

ラジオに打ちのめされる

icuは普段ラジオが流れています。
おそらく動けない患者さんのために、そして場の雰囲気を和らげるためでしょう。
実は脳外科の入院病棟には一日中唸っている人、誰かと会話するように一人でしゃべり続けている人、何か叫び続けている人なども多く、それを一日中聞いているとこちらも滅入ってしまいます。
少しでも日常を感じて欲しいということなのでしょう。

ところがこの日はラジオが私をひどく苦しめたのです。

脳出血の失語症は言葉を「話す」ことだけに障害を持つわけではなく、「読む」/「書く」さらに「聞く」という行為にも障害がでます。
すなわちこのラジオの内容を理解することが出来ないのです。

何一つ理解できないわけではなく、一つの単語の意味や関連する他の単語が出てくるまで時間がかかるのです。
それをラジオのDJのスピードで話されたらどうでしょうか。
とてもじゃないですが内容なんて理解できないのです。

「理解できる速度を超えた英語のリスニングテスト」と表現するとわかりやすいかもしれません。
単語が理解できた時にはもうずいぶん先を喋っており、会話全体の意味を知ることが出来ないのです。
それを夜の9時までマシンガントークで聞かされてしまうのです。
耳をふさぐわけにもいかず、ラジオの言葉は頭に入ってきて私を混乱させます。

かと言ってラジオを止めてくれとは言い出せません。
おかしいのは自分の方だということを知っているから。
そしてそれを認めたくなかったという気持ちをありました。

ひどく疲れた一日でした。

孤独

自分は他人とコニュニケーションがとれなくなってしまった。
無理にそれをしようとすると相手を傷つけてしまう。

昨日のコンタクトレンズの一件以降その思いが強く、看護師さんには極力話しかけないようにしていました。

何も出来ないので丸一日看護師さんを見ています。
看護師さん同士で話し、連携をしてテキパキと仕事をこなす。
たぶん自分にはこういう集団作業はもうできないんだろうな。

彼らとの間に大きな大きな壁を感じます。
もう向こう側には行けないだろう。

他人とのコミュニケーションに障害があるということが、こんなに孤独を感じるとは思いもしませんでした。
誰かに話しかけられても笑いかけられても彼らは向こう側の人。
私はそれに反応しているだけで意志は通い合っていないのです。

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