2014/12/27 その日は突然やってきた(前編)

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2014年、年の瀬も押し迫った12月27日。
相変わらず自宅で仕事。

午前中の仕事が終わったので少しだけベッドに横になり、しばしウトウトしながら休憩。
なにか食べないとなと思いつつも、「カップヌードルでいいや」という結論に落ち着く。

キッチンでヤカンを火にかけ、PC机に戻る。
時刻は12:30頃。

その時だった。

右手がおかしい

マウスを掴んでブラウザのタブを切り替えようとするがうまくいかない。
カーソルはガクガクと意図しない場所を動いている。
そしてクリックが出来ない。

「電池切れかな」
そう思ったがどうやら違うようだ。
右手に目をやるとマウスを思いっきり斜めに掴んでいる。
そりゃ動くはずがない。
でも毎日使っているものだから、握ってこれに気づかないのもおかしい。
少し焦りながら持ち直してみた。
しかし、何度持ち直してもカーソルはイメージ通りに動かなかった。

そこでようやく気づいた。
「右手が思い通りに動いていない」

そんな頭のなかが「???」で一杯になっている時、ヤカンのお湯が湧いた。
椅子から立ち上がった時、次の異常に気がついた。

右足もおかしい?

キッチンまで歩いて行ったのだが歩き方がどうもおかしい。
右膝と右股関節に力が入らず、ガクンと体が落ちる。
でも歩こうと思えば普通っぽくも歩ける。
そのときはそんな些細なコトより右手の方が心配だった。

急いてカップヌードルにお湯を入れPC机まで持ち帰る。
しかし案の定、机に置いた箸を右手で掴むことができない。
左手を使って箸を持たせても箸先を動かせない。

仕方なく左手で箸をもち、ズルズルと食べながら「この右手困っちゃったなぁ」といろいろ試していた。
まだこのときはノンキだった。

字が書けない!?

よくわからないこの状況を箇条書きにすることで整理しようとした。
手先が動かなくても肘から動かせばある程度の文字は書けると思っていた。
その時書いたメモがこれ。

20141227_01

はじめに「2014 12/27」と日付を書き、続いて何か文字を書こうとしたのだが、汚くて全く読めないので諦めた。

まだこのときは右半身麻痺ではなく、右手首から先だけに力が入らない問題だと勘違いしていたのです。

異常は体だけではなかった

とりあえずPC机に座っているのだから左手をつかって検索して調べようとした。
そこで新たな異常が。

検索したいキーワードがなかなか思いつかないのです。
読んでいる方は多分なにを言っているか分からないと思いますが、「右手 動かない」など簡単な言葉がスッと出てこないのです。

うっすら思いついても、左手を使って打ち込むときに更に問題。
ローマ字入力もうまく出来ないのです。
右手→みぎて→migiteという変換が難しく非常に苦しい作業になっていたのです。
そしてどこまで入力したかを覚えていられないため何度も間違える。

さらに打ち込んでいる最中に目に入った別の単語に意識を引っ張られ、キーワードが途中で変わってしまうのです。
一生懸命打ち込んで、見直してみるとワケの分からないキーワードに変わっているのです。
「右手 クッキング」のように。

分かりやすく例えると「脳がベロベロの泥酔状態なのに意識はシラフ」、そんな感じ。

確信しました。
「オレ頭おかしい」

救急車を呼んだほうがいいのか悩む

まだ今年中にやらなければいけない仕事もあるし、救急車を呼んで大事にしたくない。
でもさすがにこの状態はおかしい。
そもそもこの状況では残った仕事が出来る訳がない。
急を要する感じでもないし、自分で病院行けばいいのかなとも思った。
(※注意:本当はかなり切迫した状況です。発症してしばらくすると意識が無くなる場合もあるそうです。)

そこで救急相談センターに電話をしてみることにした。
案の定、名称も#7119も思い出せず、何度も何度も間違えながら検索してようやく番号を知ることができた。
googleの予測変換がこんな時に役に立つとは。

電話をしてみると「回線が混み合っている」との案内音声が流れ不安になったが、そのまま待っているとすぐにつながった。
「はい、どうしましたか?」という女性の声が聞こえた。
誰かと話せることにホッとしたが・・・

その安堵は一瞬で消え去った。

まともに会話が出来ない

「あのー、もしもし」
そう言ったつもりでした。

「なぁなぉぉ、のぉすのぉすぃ」
出てきた声に自分でもびっくりした。
全然ろれつが回っていないのです。
さらに相手の反応をみると私の声は極端に小さいようです。

ろれつは意識してゆっくりハッキリ話そうとすればなんとか通じます。
しかし会話をしようにもやはり適切な単語が出てこないのです。
なんとか「右手が動かない」と「言葉がでてこない」という内容は伝えられたと思う。
住所も長い沈黙を挟みながらも伝えることができた。
しかし「どんな感じ」「どういうふうに」という質問は難しすぎて果たしてうまく伝わったか疑問です。

オペレーターの方は脳関連だと判断したのでしょう。
電話は専門の方に転送されました。
まともに会話ができないということが非常にショックだったため、その方との会話の初めに「すいません。酔っぱらいでもイタズラでもありません」とろれつの回らない声でゴニョゴニョ謝っていたのを覚えています。
再度要点を問診すると、すぐに「救急車を向かわせます」とのこと。

「勘弁してくれよ」という戸惑いと助けに来てくれる安堵感が入り混じった複雑な気分。

出来るだけの準備を

間違いなく入院だろう。
入院の用意をしなくてはいけない。
まともに考えられない頭で用意出来たのは、Tシャツと下着一枚、コンタクトケア、メガネ、スマホ、スマホ用ACアダプタ、財布、鍵。
今思うと最低限のモノを揃えることが出来たが、なぜが買い物用エコバックに詰めていた。

出掛けるなら着替えなくてはいけない。
何を血迷ったかそう思ってしまった。
迷いもなく部屋着から外出着に着替えだしてしまう。
ジーンズを履きシャツを着たが、シャツのボタンがなかなか留められない。
結局ボタンは上の2つだけ留めて残りは諦めた。

PCなどの電源を切り、火の元をチェックするのは毎日の習慣だからかできた。
することがなくなると沈黙が恐ろしいため、玄関付近をウロウロを歩き回っていた。

救急車到着

近所でサイレンを止めたのでしょう。
いきなり呼び鈴がピンポンとなりちょっと驚く。

扉を開けると三人の救急隊員が担架を抱えて立っていた。
もう用意はできているのでそのまま靴を履き、施錠をして救急車に向かった。
シャツは一部しかボタンがとまっていないし、靴紐も結ばずに少しカクンカクンしながら歩いている。
その姿はかなり異様に映ったことでしょう。
部屋からエレベータが近いので一緒に立ったまま1階まで下り、そこで担架に乗る。

停めたままの救急車の車内で検診と病院の選定をした。
病院を3つ提示されたが、一番近い病院にしてもらった。

「あぁ・・・オレこれからどうなっちゃうんだろう」
そんなことを繰り返し思いながらサイレンが鳴り響く街の音を聞いていた。

途中から車酔いっぽい症状がでて吐き気がしたけど、そういう意味でも近くの病院を選んでよかった。
車の中で仰向けに寝転がって頭の方向に進むってのは結構キツイよね。

(後編につづく)

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